いい家づくりコラム

リフォームイメージ

リフォーム業者の選び方(1)~リフォームで失敗しないために~

2017.2.28

リフォームというと新築より気軽なイメージがあり、プランを業者任せにしたり、業者自体を吟味せずに発注してしまうケースがよくあります。
しかし、深く考えずイメージだけでリフォームしてしまうと、思ったよりコストがかかってしまったり、かえって住みづらくなることも。さらに間取りの変更などによって、光熱費が上がったり、耐震性が低下しないかも心配です。
家族の夢を叶えるはずのリフォームで失敗したくはありませんよね。このコラムでは、リフォームを思い立ったときに知っておきたい基礎知識をお教えします!


リフォーム業界は玉石混淆

まずは皆さんを驚かせるリフォーム業界の常識をお教えします。
それは、「リフォームを請け負うには、資格も許可も、届け出さえも不要」な場合が多いということ。
もう少し詳しく言うと、リフォームに建築士が必要と規定されているのは、木造以外なら30平方メートル以上、木造なら300平方メートル以上、階数が3階以上など、規模の大きな建築物についてだけ。たとえば300平方メートル未満の2階建て木造住宅であれば、資格は必要ないと解釈することができます。また請負金額が500万円未満の工事であれば、国土交通大臣の許可を取る必要もありません。
つまり、ほとんどの一般的なリフォーム工事であれば、知識や経験について何ら規制がないのです。裏を返せば、リフォーム業は誰でも開業できる、ということ。そう聞くと、ちょっと怖いな、と思いませんか?
訪問販売で「家がダメになってしまいますよ!」と脅しをかけ、高齢者をねらって高額なリフォームを契約させるリフォーム詐欺などもあるくらいです。玉石混淆のリフォーム業界ですから、自衛のためにもしっかりと基礎知識をつけてから、リフォームに臨んでいただきたいと思います。


リフォームで金銭トラブルに巻き込まれないために

リフォーム工事では金銭トラブルも多く起こっています。
よくあるのは、リフォームの途中で追加工事が必要になったとして、増額を強要されるというもの。発注する側に知識がないことをよいことに、工事を水増ししたりわざと高額になるような方法で工事を行なうなどの悪徳業者が存在します。
このようなトラブルに巻き込まれないようにするためには、見積もりをしっかりチェックすることが重要です。たとえば工事一式○○円、などといったざっくりとした見積もりでは、何にいくらかかっているのか分かりません。後から「Aの材料が使えなかったからBの材料にしたので○○円増額です」と言われても、チェックのしようがないのです。
実際に工事を契約する前に、細かい明細が分かる見積もりをとること、そして分からないことがあれば分かるまで質問すること。また、追加料金が発生する可能性についても、事前にクリアにしておくことで、こうしたトラブルを回避することができます。


イメージばかりにとらわれすぎないこと

専門雑誌やネット検索でリフォーム業者を探していると、おしゃれなインテリアのリフォーム施工例に目を奪われがちです。
たとえば壁を全部取り払って開放感のある間取りにした施工例、またトップライトをとりつけて明るい日差しを取り込んだ施工例など、おしゃれでいいなと思われる方も多いかもしれません。でも耐震性や、夏の暑さ、ゲリラ豪雨は大丈夫なのでしょうか?
もし十分な裏付けがないままにできあがりのイメージだけで工事をしてしまうと、想像した快適な暮らしとは違う結果になるかもしれません。暑さ寒さがきびしくなったり、電気代がかさむ程度ならまだよい方で、年数が経つうちに、壁にヒビが入ったり床が傾いたり雨漏りするなど、さまざまな問題が起こりえます。
一番重要なことは、この先何十年も住み続けるうえで、災害に対しても安心でき、快適に暮らせること。「フレンチテイスト」や「和モダンテイスト」など表面的なデザインは、あとからインテリアなどで十分対応することができます。
安全性、長いスパンで見た暮らしやすさや快適性こそ重要視すべき。業者選びでは、提案してくるプランにそうした視点が盛り込まれているかどうかも、ぜひチェックしていただきたいと思います。


リフォーム業者選びのポイント

では具体的にはどのようにしてリフォーム業者を選べば良いのかというと、いくつかポイントがあります。
まずひとつは、工事実績を見ること。リフォーム業者にも得意分野と不得意分野があるため、自分が希望している分野の工事を多く手がけているかどうかは重要なポイントです。施工例が多ければ多いほど、その分野の工事に対してノウハウが蓄積されているはずです。
逆にほとんど施工例がないのに、「うちもできます!」という業者は、下請けに丸投げする可能性が高いことを覚えておきましょう。
また、その業者がリフォームの業界団体に加盟しているかどうかも確認しておきたいポイント。こうした団体は、業界の発展や信頼性の向上のために作られているので、信頼できる団体に加盟していることで、少なくとも悪徳業者ではないことが確認できます。許可も届け出も必要のないリフォーム業界において、選ぶ際の目安になりますね。
最後にもうひとつ、保証やアフターサービスについても確認しておきましょう。
リフォーム業者が加入するリフォーム瑕疵保険という制度があり、この保険に加入している場合は工事完了時に第三者検査員の検査が入るので、より安心できます。
業者独自の保証やアフターサービスがあるという場合は、どんな内容なのかしっかりと確認をしておきましょう。


良い業者を見きわめることがリフォーム成功の分かれ道

階段に手すりをつけるといった、ライトなリフォーム工事の類いであれば、失敗したとしても致命的なことにはなりにくいでしょう。しかし、それと同じ感覚で家全体の構造に関わるようなリフォームに踏み切ってはいけません。家は今後何十年と住み続けるものですから、小さな不具合が時間がたつにつれ大問題に発展する可能性も。ですからイメージだけではなく、確かな知識と技術、実績で業者を選ぶ必要があるのです。
リフォーム業界は公的な規制がほとんど働いていない業界。それだけに施主がきちんと知識を身に付け、良い業者を見分ける目を持たなければならないことを、ぜひ知っておいていただきたいと思います。