いい家づくりコラム

成功する二世帯住宅のプラン作り(2)~その後を活用できる家~

2017年10月4日

資金面や子育てのしやすさなど、メリットばかりに目が行きがちな二世帯住宅。しかし長く住み続けて家族の事情が変わってくると、「こんなはずじゃなかった!」と後悔することも少なくないのが事実です。

二世帯住宅を成功させるには、「将来的にどう活用するか」まで考えてプランニングしておくことがカギ。
成功する二世帯住宅のプラン作り(1)」で紹介した「介護問題」に引き続き、介護が終わったその後まで考えた、二世帯住宅プランニングのコツをご紹介します。


空いた世帯の活用法を考えておく

二世帯住宅のプランニングでは、将来的に親世帯が亡くなり、世帯がひとつ空くことを想定に入れておかなくてはなりません。そこをどう活用するかについて考えておくかおかないかで、将来的な満足度に大きな差が出ます。
空いた世帯の活用法としては、大きく分けて3つの選択肢が考えられます。
1. 三世帯目の子供が新たに住む
2. 借家として貸出し賃料を得る
3. 売却して住み替える
成功する二世帯住宅のプラン作りイメージ

まず1の選択肢ですが、これがもっとも順当でよい方法と考えられます。
しかし残念ながら近年では、仕事の事情で郷里から離れた場所で生活する例がとても多くなっています。また子供が世帯を持つタイミングや、子世帯の配偶者がどんな考えを持つかも、事前には予測できないものの重要な問題であることは確かです。
そう考えると、プランニング時点では三世帯目が新たに入居することを想定していても、現実にそれが実現するかどうかは、誰にも分からないというのが実情です。

1の選択肢が消えたときの対策として考えておきたいのが、2の「借家として貸出し、賃料を得る」という選択肢です。
この方法を利用するには、まず共有部分がない、完全分離型の二世帯住宅であることが必要条件。「上下分離型」「左右分離型」「独立型」の場合のみ実現可能となります。

うまく賃貸として利用できれば、賃料収入を住宅ローンの返済に充てることも可能です。ただし、どんな物件でもこのように成功するわけではありません。
駅からの距離など、賃貸物件として需要がある立地・環境なのかどうか、また想定される賃料と補修費用等の投資とがバランスがとれるのかどうかなど、事前の慎重な検討が必要です。

1、2の選択肢以外には、3の「売却して住み替える」という選択肢があります。一世帯で住むには広すぎてムダが多く、賃貸することも考えにくい場合、二世帯住宅を売却し、その資金で住み替えるという選択肢を選ぶこともあるようです。そのときどきの自分たちの事情に合った住まいで、快適に暮らすことができるのはメリットと言えるでしょう。
二世帯住宅は特殊な物件なので、なかなか買い手がつきにくいと言われていますが、需要がないわけではありません。プランニング時点から将来売却することを視野に入れ、売りやすい間取りを意識するなど工夫しておくと良いでしょう。


将来賃貸に出すことを考えるなら、左右分離型

前述のように、将来賃貸に出すことも考えるなら「完全分離型」であることがひとつの条件となります。

完全分離型には大きく分けて「上下分離」と「左右分離」の2種類があります。
二世帯住宅で多いのは上下で世帯を分ける「上下分離」ですが、この場合はどうしても「音」の問題が起こることを認識しておかなくてはなりません。いくら遮音対策を施し、設計上気をつけたとしても、やはり完全に上から下の階へ伝わる音を遮断することは不可能だからです。

一方「左右分離」型は、棟続きのメゾネット賃貸住宅といったイメージです。世帯間の壁際に階段を設けるようにすれば、ほぼ音に関しては気にならない状態にすることが可能。借家としてはもっとも利用しやすい形と言えます。
デメリットとしては、親世帯が年老いたときに階段の上り下りが大変になるという点。左右分離型を選ぶなら、いずれは1階で生活できるような間取りの工夫や、将来的なリフォームも視野に入れた設計などの対策が必要です。それらのデメリットを設計時にクリアしておけば、左右分離型は将来賃貸利用を計画されている方におすすめの形です。


相続問題は事前にしっかり協議しておく

親の財産と自分たちの財産が一体化している二世帯住宅の場合、兄弟間で相続問題が発生したとき、深刻なトラブルに発展しがちです。
実際によく起こっているトラブルの実例として、両親の資金援助を受け、登記上親世帯50%、子世帯50%で二世帯住宅を建築したAさんのお話をしましょう。

Aさんは当初、土地購入、建物建築の費用が半分になると喜んでいました。数十年が過ぎたころ、両親が他界され相続の話が出てきます。
Aさんには弟が一人いて、こう切り出しました。
「その土地・建物の名義は半分は親父の名義だよね?じゃあその分はこっちにも相続の権利があるよね」
Aさんは事前に弟と相続時の話をしていませんでした。「名義は残っているけど、家を壊すことはできないんだから、相続といっても分けようがないだろ?」とAさんが言うと、
「そうは言っても法律的には分けないといけないからね。そのまま住みたいのであれば相当する金額を払ってくれ。無理ならその家を売って、売れた金額を分けるしかないな。何にせよ、権利がある分はきっちりもらうからな!」

Aさんは弟の相続分の金銭を払う余裕もなく、法律的にも劣勢側なので、最終的には家を売り払うことになってしまいました。
決して仲が悪いわけではなかったAさんたち兄弟でしたが、相続問題によって、Aさんの生活も、弟との関係性も、全てが崩れ去ってしまったのです。

家を失うまでいかなくても、これに近いトラブルは頻繁に起こっています。「うちは仲がいいから大丈夫」と安易に考えるのは大変危険です。
こうしたトラブルを避けるには、相続時に問題がおきないよう、二世帯住宅を計画する際に兄弟間でしっかりと話し合いを持っておくことです。口約束もトラブルの種になることが大変多いため、家づくりの専門家や相続の専門家に相談し、皆が納得できるようきちんと協議しておくことが大切です。


20年後、30年後を見据えてプランニングしよう

二世帯住宅を建てて10年、20年、30年と、時が経つにつれ生活スタイルにはさまざまな変化がおこります。子供が独立して家を出る、転勤になる、親世帯に介護が必要になる、仕事を定年退職する、親世帯が亡くなり一世帯分が空く・・・成熟度の異なる2つの世帯が一緒に暮らす分、起きる変化もダイナミック。

二世帯住宅のプランニングでは、そうした変化に対応できる工夫をしておくことが必要です。将来的に世帯が空いたら賃貸利用できるようにしておくのでも良いですし、壁をぶち抜けるように設計しておき広々とした1世帯用にリフォームするのでも良いでしょう。はたまたそのスペースで、定年退職後に夢だったお店を開くという人もいるかもしれません。
自分たちは20年、30年先どうなっているのかを楽しく予想しながら、自分たちらしい二世帯プランニングをぜひ、考えてみてください。


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