いい家づくりコラム

家の断熱イメージ

費用対効果で考える断熱リフォームの得ワザとは?

2017.12.5

冷たい床にすきま風・・・断熱性の低い家では、いくら暖房を入れても熱がどんどん逃げていきます。光熱費の請求書を見ては毎月ため息をついているなら、そろそろ断熱リフォームの検討どきかもしれません。
もちろん家をまるごと断熱リフォームできたら一番よいのですが、部分的なリフォームでもかなり快適性を上げることができます。
このコラムでは、最小のコストで最大の効果を得る、断熱リフォームのポイントについてご説明していきます。壁や天井、床下、窓など、いくつかの断熱ポイントごとに詳しく見ていきましょう。


断熱性の低い家は健康を脅かす

気密性や断熱性の低い家では、家族のいるリビングだけは暖房で暖かくしても、廊下やトイレなどは寒いまま。すると家のなかに大きな温度差ができてしまいます。
この温度差による影響として悪名高いのが「ヒートショック」。暖かい部屋から急に寒い部屋に移動したり、逆に寒い部屋から急に暖かい部屋に移動したりして、血圧が急激に変動することを指します。脳梗塞や心筋梗塞、風呂場での転倒など、深刻な事故の一因になることが知られています。

それだけでなく、寒すぎたり結露が起こることなどにより、ウイルス性の病気やカビによるアレルギーなどを発症することも。まさに、気密性・断熱性の低い家は家族の健康を脅かしてしまうのです。
断熱リフォームを検討することは、「省エネ」の視点だけでなく「健康」という視点から見ても、とても重要であることがお分かりいただけると思います。


ポイント別断熱リフォームの得ワザ

(1)窓の断熱リフォーム

冬、家のなかに貯めた熱は、約5割が窓を通じて失われると言われています。もし現状の窓が省エネ性能の低いものであれば、断熱性の高い窓に取り替えるだけでも大きな断熱効果を得ることができます。ですから窓の断熱性改善は、他のリフォームポイントに優先してまず行ないたいところ。
ただし、窓枠自体からすきま風が入り込んでいるような場合、ただ省エネ性能の高い窓に取り替えるだけでは不十分。窓枠と壁の隙間をなくして気密性を高めることが必要ですが、そうするとリフォーム工事が大規模になり、費用もかかってしまいます。

そこで費用対効果の大きい方法としておすすめなのは、内窓を取付けて2重窓にする工事。既存の窓の上からもうひとつの窓を取付け、窓が2つ重なっているような状態になります。気密性・断熱性が格段に高まり、結露にも効果があります。
窓の開け閉めを2回しなくてはならなくなるのはデメリットですが、工事の手間と費用も抑えられ、防犯面や防音面でも性能向上するのはうれしいメリット。
部屋に省エネ性能の低い大きな窓があり、手軽に断熱性を高めたい場合におすすめの方法です。

(2)壁の断熱リフォーム

壁に断熱材が入っていない場合、まず壁をはがし、断熱材を充填するのが本来のやり方です。
しかしこの方法では手間や工期がかかり、費用もかさんでしまいます。
もっと手軽にしたい場合は、壁はそのままにクロスだけをはがし、その上から断熱ボードを施工して、再度クロスで仕上げる方法が考えられます。
ボードの厚み分室内に張り出しますが、気になるほどではないでしょう。工期と費用を抑えながらある程度断熱性を高めることができ、メリットの大きい方法です。

(3)天井の断熱リフォーム

これも壁と同様、断熱材が入っていない場合、まず床や天井をはがして断熱材を充填するのが本来のやり方です。ただし、住みながらの工事は難しいため、工事中は仮住まいを用意する必要があります。
もっと手軽にしたい場合は床や天井はそのままに、床下や天井裏から入って断熱ボードを施工する方法があります。家具を動かす必要もなく、全体として費用を抑えられるのが魅力と言えるでしょう。


費用対効果を重視するなら部分断熱も

家をまるごと断熱しようとすると、大規模なリフォームが必要になり、ハードルも高くなります。
そこで選択肢に入れてほしいのが、家をゾーンで区切り、部分的に断熱する「部分断熱」という考え方。リビングと、キッチン・トイレ・お風呂、それら水回りをつなぐ廊下など、家族がよく使う場所をピックアップして、ゾーンで断熱リフォームを施します。

部分断熱では、全体を断熱リフォームするよりも費用が抑えられる一方、生活するうえで十分な断熱効果を得られるのが特徴です。もしも工期や費用がネックで断熱リフォームを躊躇しているなら、ぜひ部分断熱リフォームを検討してみましょう。我慢しながら住み続けていると、ストレスもかかり、いつ家族の健康に悪影響が出るかもしれません。

ただしその場合も、安さなどにつられてノウハウのない業者に依頼しないよう気をつけましょう。安易に一部分だけ断熱リフォームをすることで、かえって夏の暑さが増して住みにくくなるなど、副作用が出ることも考えられます。
家をまるごと新築できるノウハウを持つ工務店であれば、断熱に関する知識と技術はひと通り持っていると考えられます。その土地での新築物件の実績や、リフォーム実績を数多く持つ工務店を吟味し、信頼できる業者に依頼するようにしましょう。