いい家づくりコラム

ストレスイメージ

ストレスフリーの二世帯住宅をつくる5か条とは?

2018.1.11

実際に住んでみると、「こんなはずじゃなかった!」という後悔の声もよく聞こえる二世帯住宅。特に完全分離型ではなく、住まいの一部または全部を共有するタイプの二世帯住宅の場合は要注意です。
価値観も生活時間帯も異なる2つの世帯が、ストレスをためることなく仲良く暮らしていくためには、必ず押さえておきたいポイントがいくつかあります。
今回はそれを分かりやすく、実際の事例を参考にしながら5か条にまとめてご紹介。二世帯住宅の具体的なプランニングを始めるまえに、ぜひこの5項目をチェックしておきましょう。


(1か条)収納はじゅうぶん確保する

完全分離型の二世帯住宅であれば、収納についても通常の考え方で計画すればよいのですが、共有型の二世帯住宅ではそうはいきません。収納を共有する場合、じゅうぶんなスペースがなく、ものがあふれてストレスを抱えしまう事例がとても多いのです。

二世帯住宅を建てた人へのアンケートによると、後悔している収納についてのランキングは下記のような結果に。

1位・・・玄関の収納
2位・・・洗面化粧室の収納
3位・・・キッチンの収納

玄関を共有する場合、親世帯と子世帯の履物や傘などのほか、孫世代の靴や三輪車などの遊び道具であふれかえります。
洗面化粧室については、タオルや着替え、洗濯に使う洗剤など、共有できないものが2世帯分おかれることに。
またキッチンについても同様で、各世帯で食の習慣や好みが違えば、食品の管理も別々になります。
つまり、共有できるスペースのなかに、共有できないものが2世帯分置かれることを考えておかなくてはなりません。
家のなかにものがあふれてストレスをためないために、共有スペースの収納は通常の1.5倍程度を目安に。それぞれの世帯の生活習慣や趣味、好みを考慮して、ときにはこれより増やすことも考えておきましょう。


(2か条)間取りを工夫して音漏れを防ぐ

ふだん、仲良く生活しているときは問題なくても、夫婦げんかをしたときや、子どもが暴れたときなど、聴かれたくないときほど声や音は予想よりも伝わってしまいます。
特に問題が多いのは、リビング階段で一階の共有リビングと、二階のサブリビングをつなぐ開放的な間取り。また、吹き抜けがある場合も要注意です。
階段や吹き抜けなどの大きな空間によって、親世帯と子世帯の生活スペースがつながっているため、生活音や会話が思った以上に伝わってしまうのです。

特に親世帯が読書などで静かにしているときには、子世帯が普通の音量でしゃべっているつもりでも、会話が筒抜けになっていたりします。逆に子世帯では、親世帯のテレビの音が大きくて、せっかく寝た赤ちゃんが起きてしまうといった悩みも。
1階と2階で完全分離の間取りであれば、こうした問題は起こりにくくなります。共有スペースが多い場合でも、親世帯・子世帯が寛ぐスペースにはきちんと扉を設けて、遮音できるような間取りにしておくと安心です。

家族みんなで助け合ったり、協力し合えるというイメージの共有型二世帯住宅ですが、音の問題でお互いにストレスを抱えてしまっては本末転倒。音の問題を軽んじてしまうと、毎日がストレスフルなものになってしまうかもしれません。デザイン性やイメージだけで間取りを決めず、きちんと計画することが大切です。


(3か条)ポストを分けてプライバシーを保つ

郵便物のポストも、各世帯ごとに1つずつ用意することをおすすめします。
たとえば、ネットオークションで買い物をすることが多いAさんの事例をご紹介しましょう。ネットオークションは個人売買になるため、送り主のところは個人名が記載されています。何も知らない義母は「知らない男の人から頻繁に郵送物が送られてくるけれど、一体なにをしているのかしら」と疑いの目で見てくるように。Aさんも買い物のたびに義母に説明しなくてはならず、ストレスが溜まってしまったということです。

このほかにも、ポストにはプライベートな友人からの手紙など、見られたくないものも多く届きます。
また、よかれと思ってポストから取って、渡そうと思って忘れていたり、郵送物を勝手に開けられ中を見られたといったことも起こりがち。
こうしたトラブルを未然に防ぐには、はじめからポストを分けておくことです。親世帯、子世帯ともに、無用なストレスを抱え込まずにすむでしょう。


(4か条)家電を2台用意する

共有型の二世帯住宅の場合は、テレビや冷蔵庫、洗濯機といった家電を「同居だから」と一緒にしてしまいがちですね。
しかし二世帯生活でストレスをためこまないためには、最低限この3つは分けておいた方が良いでしょう。

1. 冷蔵庫

各世帯の生活感が丸見えになる冷蔵庫。たとえば、あなたがお友だちの家に行って冷蔵庫を開けたら、「お酒とおつまみで冷蔵庫が埋まっていた」なんていう場面に遭遇したら、どう感じますか?世帯間で冷蔵庫を共有した場合、それと同じことが起こる可能性があるということを知っておきましょう。

2. 洗濯機

世帯によって、洗濯をする頻度も時間帯も違います。子どもの泥んこの服と、親世帯の服を一緒には洗いづらいもの。女性なら、下着を見られるのが嫌という方もいらっしゃいますし、洗剤や柔軟剤も、使い心地や香りなどで好みが分かれます。
互いに気を使わず、思う存分洗濯できるように、洗濯機は分けることをおすすめします。

3. テレビ

見たいドラマがあるけれど、テレビが共有なので見れない。子どもが見たいアニメを見ることができず、泣いてしまった・・・テレビを共有すると、多かれ少なかれ確実にこういった事例が起こります。ストレスのもとを断つには、世帯ごとにテレビを分けておくことです。


(5か条)光熱費や水道代を分けることも検討する

共有型の二世帯住宅では、多くの家庭が光熱費や水道代を一緒にしているようです。しかし、これがストレスに繋がるケースがあることを知っておきましょう。

親世帯が元気で経済力があるうちはよくても、この先仕事をリタイヤしたり、病気やケガで介護が必要になったり、将来を見据えるとさまざまな状況の変化が考えられます。このとき、電気代や水道代を分けず、どちらかの世帯が負担する、もしくは折半するような形にしていると、どうしても不公平感が出てきます。

よくある事例としては、むこうの世帯が電気代や水道代を無駄遣いしているんじゃないかと気になったり、逆に気を使ってシャワーを思う存分浴びられなかったり、といったもの。
結局、自分たちの使った分は自分たちが払うシンプルな方法がベスト。これだけで、二世帯同居生活のストレスを減らし、満足度をグンとアップさせることができるのです。


二世帯住宅では「ほんのささいなこと」がストレスに

以上、二世帯住宅でストレスをためこまないようにするためのポイントを、5つにまとめてご紹介しました。ポストや光熱費、テレビのことなど、「細かいなあ」と思った方も多いのでは?
でも二世帯住宅では「ほんのささいなこと」が大きなストレスに発展していくのです。

たとえば、仲良しの友達と長期旅行に出かけたら、始めの数日は良かったけれど、後半ちょっとしたことで大げんか。帰ってきても距離ができてしまった、なんて経験はありませんか?
二世帯住宅でもこれと同じように、それまでは仲の良かった世帯同士が、一緒に住みだしたことで仲違いをしてしまったという事例が多く存在します。

予期せぬストレスを避けるためには、「こんな細かいことまで話し合うの?」というくらいまで計画しておくくらいでちょうどよいのです。「気を悪くされそうで言いづらい」という場合は、住宅会社の担当者などプロに言ってもらうのも良い方法。計画段階できちんと話し合い、思いを伝えておくことが、ストレスフリーの二世帯住宅をつくるためのキーポイントです。