断熱材の種類と工法を比較|住宅のプロから見たメリットとデメリットとは?
2020.6.19 カテゴリー:楢崎 隆也
こんにちゎ^^
住宅コンサルタントのならざきです!
フィックスホームは、大津市・草津市・栗東市・守山市周辺で、高気密高断熱の省エネ・エコ住宅を建てる工務店です。
テレワークやリモートワーク、自宅学習など、住まいに対して求められること、価値観が変わったことで、住宅自体に求められる快適さや性能、間取りも、これまでとは大きく変化してきています。
そこで今回は、住宅の基本性能のうちの一つである「断熱性能」について、断熱材の種類や工法の視点から言語化しておきたいと思います。
主な断熱材の種類
断熱材にもいろいろな種類があり、それぞれに特徴や長所、短所があります。快適で省エネな家作りのためには、どんな断熱材を選べば良いのでしょうか?
住宅のプロの視点から、チェックすべきポイントをご紹介していきましょう。
グラスウール
木造住宅で最も多く使われているのがガラス繊維を原料にしたグラスウール。メリットとしては、耐火性が高いこと、柔軟性があるため木材の収縮や建物の揺れに対応しやすいこと、コストパフォーマンスの高さなど。
吸音性も高いため、住宅密集地などで音の問題が気になるときに役立つのも魅力。デメリットとしては、湿気に弱いこと。結露を起こすと断熱性能が低下してしまうため、壁のなかで結露を起こさないよう、しっかり対策を講じることが必要。フィックスホームでも採用している。
ロックウール
次に多く使われているのが岩石などを原料としたロックウール。グラスウールと性質が似ていますが、やや価格は高くなります。撥水性が高いため水に濡れても乾きが早く、断熱性が損なわれにくいところがメリット。ただし重いため、自重によって隙間ができないよう、施工に注意が必要。フィックスホームでも採用している。
セルロースファイバー
新聞古紙など、植物繊維を原料にしたセルロースファイバーは、耐火性、防音性、防虫性などを持つ繊維系の断熱材。グラスウール、ロックウールにないメリットとして、調湿性を持ち、結露しにくいこと。
デメリットとしては、重いためしっかり吹き込まないと沈下する恐れがあること。沈下すると上部に隙間ができるため、断熱性が下がってしまいます。施工時はこの点をきちんと考慮し、ていねいに充填することが必要。
羊毛
羊毛を原料にした断熱材・ウールブレスは、優れた調湿性能を持ち、結露に強い素材。加えて防音性や防火性も持ち、腐りにくく耐害虫性もあるなど、メリットが多い。欠点としては価格の高さが挙げられます。
炭化コルク
炭化コルクは、ワインの栓などの製造過程で余った端材を加工した、自然素材の断熱材。メリットとしては調湿性があり結露を発生させにくく、弾力性や吸音性、耐害虫性、難燃性などがある点。ダニに対して忌避効果を持つといった特徴も持ってる。デメリットとしてはやはり価格の高さ。また、厚みが増すとカットしづらいといった、施工性の低さも挙げられる。
ビーズ法ポリスチレンフォーム・押出法ポリスチレンフォーム
ポリスチレン樹脂をビーズ状にして発泡させたものが、柔らかくて加工しやすいビーズ法ポリスチレンフフォーム。一方ポリスチレン樹脂に発泡剤などを混ぜ、押し出しながら堅いボード状に成形したのが押出法ポリスチレンフォーム。どちらも水や湿気に強く、軽量なのが特徴。ただし両者とも比較的熱に弱い。押出法ポリスチレンフォームは、フィックスホームでも採用している。
硬質ウレタンフォーム
硬質ウレタンフォームは、ポリウレタン樹脂を発泡させた断熱素材。現場で吹き付けるタイプのものは「自己接着性」を持つのが大きな特徴。これは対象物に直接吹き付けるだけで、接着剤などを使わなくても強く接着し、断熱層を作ることができるというもの。ただ紫外線や雨にさらされると劣化が早いというデメリットもある。フィックスホームでも採用している。
フェノールフォーム
フェノールフォームはフェノール樹脂を発泡させて、ボード状にした断熱材です。経年劣化しにくく、断熱性と耐火性に優れているのがメリット。デメリットとしては価格の高さ。
断熱材は何を選んだら良いのか?
よく、お客さまからこのような質問をいただきます。正直なところ、全てをカバーした完璧な断熱材は、この世に存在しません。ですから実際のところは、いくら断熱材の優劣を議論したところで、あまり意味がないのかも知れません。
断熱材選び以上に大切なことが、「業者がその断熱材を適正に施工できるかどうか」。いかに高品質な断熱材を使っても、業者の施工技術が低ければ台無しになってしまいます。また、どの断熱材を選ぶにしてもそれぞれに必ず短所があるため、それに対してどんな対策を講じているのかもチェックのしどころ。
業者の断熱への意識の高さや、職人の施工技術を確認するには、なんといっても現場見学会がおすすめです。できれば実際に、断熱施工を行っているところも見学しておくと安心ですね。
木造住宅の断熱工法は2種類
木造住宅の断熱工法は、大きく分けて「充填断熱」と「外張断熱」の2つがあります。「充填断熱工法」は、柱などの構造材の間に断熱材を充填する方法。
これに対して「外張断熱工法」は、柱などの構造材の外側をボード状の断熱材で包むようにする方法です。外壁の内側で断熱するか、外側で断熱するかの違いがあり、これがそれぞれの特徴につながってきます。
充填断熱工法のメリットとデメリット
充填断熱工法では、屋根や床下、外壁などの内側にできる空間に、グラスウール、ロックウール、セルロースファイバーといった繊維系断熱材を充填していきます。
壁の外側に断熱用のスペースを作る必要がないため、どんなデザインの家でも対応しやすく、一般的に外張断熱よりコストを抑えられるのがメリット。
デメリットは壁の内部で断熱しているため、壁内に温度差が生じて結露が発生する恐れがある点です。結露が発生するとカビやダニなどの原因となったり、木材が腐って家の寿命が短くなることも。
施工の質次第では断熱性能に大きな違いが出てしまうため、見えないところも手を抜かない誠実な業者を選ぶことが大切になってきます。
外張断熱工法のメリットとデメリット
外張断熱工法は、家をまるごと躯体の外側からボード状の断熱材で包むというものです。寒冷地で多く採用されている工法で、硬質ウレタンフォーム、押出法ポリスチレンフォーム、フェノールフォームなどの断熱材が主に使われます。
メリットとして挙げられるのは、気密性が確保されやすいため結露が少なく、家の躯体が痛みにくいこと。柱や配線、配管などを避ける必要がないため、そのぶん断熱性能が高まること。外側に施工するため、内部意匠の自由度が高くなる点や、家が完成した後でも確認しやすい点も魅力です。
デメリットとしては、断熱材の外側から外壁材を取り付けるため、外壁材をしっかり固定する下地が必要になる点。そのため、どうしても充填断熱工法に比べて、コストが高くなる傾向があります。
充填断熱と外張断熱、どちらを選ぶのが正解?
こちらもよくいただく質問です。どちらの工法を選んでも、しっかりと計画し、施工の技術も高ければ、快適な家を造ることは可能です。
逆に言えば、どんなに気に入った業者でも、自分たちがしたい断熱工法の実績がなければ、家作りを任せるのは思いとどまった方が良いでしょう。
成否を左右する、最も重要な分かれ道となる業者選び。失敗しないためには、断熱に対する考え方や施工実績を、契約前にきちんと確認すること。業者によって考え方は千差万別のため、その内容に納得がいく業者を選ぶことが後々のトラブルを避けるコツです。
最後に
高い断熱性能を得るためには工法や素材にこだわることも大切ですが、それ以上に大切なことが確かな施工技術。断熱工法と素材の組み合わせは多くのパターンが考えられ、工事の施工品質に至ってはピンからキリまで。
だからこそ、工務店やハウスメーカーに工事を依頼する前に、その業者が得意とする断熱工法、推奨する断熱素材、断熱に対する考え方は、必ず確認されることをおすすめします。
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