いい家づくりコラム

ベストオブ全館空調はこれだ!メリット・デメリットを詳しく解説

2023.2.20


全館空調の方法3パターン

全館空調には主に以下の3パターンの方法があります。

① 家庭用エアコン+空調室+ダクト

家電量販店で購入できる一般的な家庭用エアコンを住居2階の空調室に設置し、ダクトを通して家全体を空調する方法です。空調室をエアコンで冷やしたり暖めたりして、 ファンを使って風を流していきます。

② アメニティエアコン+ダクト

アメニティエアコンとは店舗などで見かける天井埋め込み型のエアコンで、この方法が全館空調では最も一般的です。①と同様にダクトを通して家全体を空調します。エアコンを壁かけせず埋め込むため、部屋のインテリアにこだわりたい方におすすめです。

③ 家庭用エアコン(小屋裏+床下)

家庭用エアコンを小屋裏と床下に設置し、各部屋のスリット(通気口)を通して空調する方法です。夏は小屋裏エアコンの冷房を稼働して、冷気を自然に下へ流します。冬は床下エアコンの暖房を稼働して暖気を自然に上へ流します。ダクトはほとんど使わず、①②と比べてとてもシンプルな作りとなります。


全館空調の方法3パターン

メリットとデメリット

続いて、それぞれのメリット・デメリットをみてみましょう。

① 家庭用エアコン+空調室+ダクト

【メリット】
○ エアコンの取り替えが簡単にできる
寿命(10年程度)や故障などでエアコンを取り替える必要が出てきても、一般的な家庭用エアコンのため手配も施工も簡単にできます。

【デメリット】
✕ 空調室用のスペースが必要となる
空調室用に3畳程度のスペースが必要となります。広さに余裕のある家なら特に問題にはならないかもしれませんが、近年都心を中心に増加している狭小住宅の場合、3畳(約5m²)を空調室専用とすることは、もったいないと感じるかもしれません。
✕ ダクト設置のコストが高い
空調室を起点に家中にダクトを張り巡らせるため、ダクト設置には最低でも150万円以上のコストがかかると考えておきましょう。ダクトのメンテナンスも大掛かりなものとなるため、高コストになりやすいです。

② アメニティエアコン+ダクト

【メリット】
○ 部屋のインテリアがすっきりする
階段室などのスペースにエアコンを埋め込むため、エアコンを見せないインテリアが可能となります。
○ メンテナンスしやすい
ダクトが短く済むため、①に比べるとメンテナンスがしやすいです。

【デメリット】
✕ コストが高い
アメニティエアコン自体が高額であり、埋め込み型のため取り替え費用も150~200万円程度みておいたほうがよいでしょう。
✕ 光熱費の節約にはならない
光熱費を比較すると、壁掛けエアコンを各部屋につけた場合と大して差がなく、節約効果は期待できないでしょう。

③ 家庭用エアコン(小屋裏+床下)

【メリット】
○ コストが低い
家庭用の壁掛けエアコンを使用すること、ダクトを張り巡らせる必要がないことから①②と比較して導入コストは抑えられます。また、ダクトのメンテナンスもなくエアコンの取り替えもしやすいため、余計なコストがかかりません。
○ スペースを専有しない
小屋裏と床下は基本的には使われない場所のため、空調のために貴重なスペースを犠牲にすることはありません。
○ 電気代を節約できる
基礎のコンクリートは蓄熱するため、電気代が安い深夜に床下エアコンを稼働しておけば節電になります。昼間にスイッチを切っても、貯まった熱がじわじわと家を暖めてくれます。

【デメリット】
✕ 一定以上の住宅性能が必要となる
住宅の断熱性・気密性が高くなければ、エアコンを稼働させても小屋裏・床下から熱が逃げてしまうため満足のいく全館空調は実現できません。
✕ 高いレベルの設計・施工が欠かせない
小屋裏・床下エアコンは見よう見まねで施工して成功するものではありません。経験豊富なプロによる、断熱材の入れ方や風の回り方などを綿密に計算した設計・施工が必要となります。

床下エアコンについての詳しいコラムはこちらからご覧いただけます。


全館空調は「小屋裏・床下エアコン」がコスパよし!

まとめると、①と②は住宅性能が高くなくても全館空調が可能ですが、導入やメンテナンス、取り替えなどのコストがかさみやすいのが難点です。一方で③は一定以上の住宅性能が必要であるものの、その他のコストはしっかりと抑えられ節電も可能なため、3つのうちでは最もおすすめできる全館空調です。

マイホームに最適な全館空調はどの方法なのか。それぞれの特徴をしっかり見極めて、納得のいく選択をしてくださいね。