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いい家づくりコラム

生活動線イメージ

生活動線を考慮した家づくり。4つの動線のポイントとは

2025.10.23

家づくりのキーワードである「動線」という言葉。「動線の良い間取りにしたい」と考えていても、いざ打ち合わせが始まると混乱してしまうことはありませんか?
生活動線は、家事動線・身支度動線・衛生動線・来客動線の4つに大きく分けることができます。家づくりは、どれか1つの動線を作り込んでも不十分で、トータルで考えなければなりません。
今回は、これら4つの動線について、それぞれのポイントをお伝えします。


家事動線

家づくりで最も重視される家事動線は、洗濯動線・掃除動線・調理動線の3つに分類できます。

洗濯動線

家事の中でも大きなウエイトを占める洗濯。毎日行うことであり、人数が増えるほど洗濯物の量も増えるため、洗濯動線は家事効率に大きな影響を与えます。

そんな洗濯動線を考える際のポイントは「平面だけで考えず、立体で考えること」です。洗濯には「洗う→干す→取り込む→しまう」という作業がありますが、家が平屋でない場合、1階で洗って2階に干し、各部屋にしまうという動線にしてしまうと、横移動だけでなく上下移動も加わるため、移動距離が長くなり非効率です。

そこでおすすめしたいのが、1階ですべての作業を完結できる洗濯動線です。移動が少なく、時間も手間も大幅に削減できます。最近は洗濯に特化したランドリールームを設ける人も増えています。
とくに2階以上の家では、実際の生活をイメージしながら、上下移動を含めた立体的な動線計画をたてましょう。

掃除動線

家をきれいに維持するコツは、掃除のハードルを下げてこまめに掃除し、汚れをためこまないこと。リビングなど汚れやすい場所の近くに掃除機を収納しておき、思い立ったときすぐに掃除機をかけられるようにしておくのがポイントです。回遊できる家にしておくと、より効率的です。
家が2階建て以上の場合、各階に掃除機があると「下の階に掃除機をとりに行くのが面倒だな。明日にしよう」と、後回しにしてしまうことも防げます。

また、コード式掃除機の場合、コンセントの位置が重要です。差し替える回数が多いと掃除にストレスを感じてしまうため、家が広い場合は部屋の中央や廊下の両端にもコンセントを配置しておきましょう。ロボット掃除機の場合は、段差をなくして充電ステーションを設置することに加え、家具の脚の高さにも気を配りましょう。

調理動線

家で食事をとる回数は人それぞれですが、家族の人数が多ければ、その分調理や片付けの負担は大きくなります。頻繁に食器や調理器具の出し入れをするキッチンこそ、効率的な動線が必要です。
調理動線のポイントは、ワークトライアングル。キッチンのシンク・冷蔵庫・コンロを正三角形に配置することで、作業効率の高い動線を実現できます。また、使用頻度の高い物は、立った姿勢でスムーズに出し入れできる位置に収納しましょう。


身支度動線(おでかけ動線、おかえり動線)

朝起きて外出するにも、帰宅して就寝するにも身支度を整えますよね。その動線が「身支度動線(おでかけ動線、おかえり動線)」です。

家事には家事をメインでおこなう人がいますが、身支度は個々がおこなうため、人それぞれの動線があります。たとえば、おでかけ動線の場合、自室で着替えてから朝食をとる人もいれば、その逆の人もいるでしょう。洗面所でメイクをする人もいれば、自室でする人もいます。髪を整えるタイミングも場所も人それぞれです。帰宅後のおかえり動線も同様です。

身支度動線は、家族がどう動くのかだけでなく、どのように動いてほしいのかも含めて考えるのがポイントです。なぜそこまで考慮する必要があるのかというと、この動線がうまく設計できれば「家が散らかりにくくなる」から。実際のところ、家が散らかる大きな原因のひとつは「衣類の乱れ」、つまり身支度に関係しているのです。

たとえば、帰宅後に上着をソファーなど本来の置き場所ではない所に置いたりはしていませんか?リビングの至るところに、家族が脱ぎ捨てた靴下が散らばっていませんか?このように、衣類の居場所をコントロールできないと、家は散らかりやすいのです。

これを解決する方法が、動線上に物の住所をつくることです。上着なら、玄関そばに上着をかけられる場所を設けることが有効です。リビングの手前に脱衣所兼洗面所があれば、帰宅後に手を洗うついでに靴下も脱げます。「動線で人の行動は誘導できる」と心にとめておきましょう。


衛生動線

入浴やトイレなど、衛生にかかわる動線のポイントは、家族構成などに応じてトイレや洗面台の数を調整することです。4人家族ならトイレは2台あると安心です。来客が多い場合も、2台あると家族用と来客用に分けられます。
トイレの配置は、リビングなど長時間過ごす部屋から近い位置にトイレがあると、気軽にトイレに立てるというメリットがある一方で、音やニオイの漏れが心配というデメリットがあります。玄関付近ならその心配はなく、来客動線とも相性がいいですが、玄関付近は冬に寒くなりやすいためヒートショックに注意しましょう。介護の必要がある人や小さなこどもがいる家は、浴室付近にトイレを配置すると便利な場合が多いでしょう。こちらも、冬場のヒートショックには注意しましょう。

また、帰宅後にすぐに手を洗いたい人は、玄関から近い場所に洗面所を配置するか、それが難しい場合は玄関付近に洗面台を設置するという手があります。


来客動線

来客動線は近年あまり重要視されなくなりましたが、昔は家に客を招くことは当たり前で、家の主体は来客といえるほどでした。床の間や客間、応接間、家の顔となる広い玄関など、すべてが来客対応を考慮したものだったのです。

現在は住む人を主体とした家づくりが主流で、来客スペースがなかったり、玄関スペースも最小限だったりする家が増えました。「うちは来客がほとんどないから、来客動線を考える必要ないかな」という人もいるでしょう。しかし、来客動線は一概に軽視できません。
予期せず、親戚を泊めたり、こどもが友人を招いたりといった場面は少なからずあります。来客動線を整えておけば、プライベート空間を極力見られずに来客対応ができます。

来客動線のポイントは、来客が迷わないよう、客間からトイレや洗面所までの動線を短くシンプルにすることです。客間を設けずにリビングで来客を迎える場合は、片付けやすいようリビング収納を充実させたり、可動式の間仕切りを設置したりするとよいでしょう。

最近は、趣味の交流ができる家にしたいという要望が増えています。今後、来客動線の重要性が見直されてくるでしょう。


生活動線はトータルで考えてこそ完成する

家事動線や回遊動線を意識した家づくりをする人は大勢います。しかし、それだけでは不十分で、家事動線・身支度動線・衛生動線・来客動線の4つを複合的に考えることで、生活動線は完成します。

生活動線が整えば、日常生活の行動が効率的になって暮らしやすくなるだけでなく、散らかりにくい家も実現できます。今回ご紹介したポイントを、ぜひ家づくりに取り入れてみてくださいね。