
夏の暑さ対策に「アウターシェード」が効く理由。庇のない現代住宅だからこそ知っておきたいこと
2026.6.20
「今年の夏も暑かった」という声を、毎年のように耳にします。気候変動の影響もあるでしょうが、「昔の家より今の家のほうが暑い」と感じている方も多いのではないでしょうか。
実はこの「暑さ」、家の構造が大きく関係しています。今回は、現代の住宅が夏に暑くなりやすい理由と、設計の段階から取り入れておきたい「アウターシェード」という日射遮蔽の手法についてお伝えします。
1. 昔の家はなぜ涼しかったのか
2. 現代住宅が夏に弱い理由
3. すだれ・よしずの現代版「アウターシェード」とは
4. アウターシェードの効果。データで見ると
5. 取り入れる際の注意点とポイント
6. 新築時に設計へ組み込むことをおすすめする理由
昔の家はなぜ涼しかったのか
昔ながらの日本の住宅には、「庇(ひさし)」が随所についていました。大屋根の軒先が1m近く張り出し、1階の窓の上にも小さな庇が設けられているのが一般的でした。縁側や濡れ縁があり、その上に大きな屋根がかかっている光景を思い浮かべていただくと分かりやすいかもしれません。
この庇が、夏の強い日差しを効果的にさえぎっていたのです。
夏の太陽は冬に比べて高い位置を通ります。太陽高度が60度前後になるため、真横から差し込む冬の日差しとは異なり、急角度で降り注ぎます。このとき、窓の上に小さな庇があるだけで、強い直射日光が室内に入るのをかなり防ぐことができます。
さらに昔の家には、すだれやよしずという文化もありました。縁側にすだれを吊るし、風を通しながら日差しをやわらげる。夏になると朝顔やゴーヤなどを育てたグリーンカーテンで日陰をつくる家もありました。夏の植物は夏に茂り、冬には枯れて日当たりがよくなる。じつに合理的な仕組みです。
現代住宅が夏に弱い理由
では、現代の家はどうでしょうか。
ここ30〜40年で、「総二階」と呼ばれる箱型の住宅が主流になりました。建築コストを抑えやすく、延床面積を広く取れるというメリットがあるためです。しかし総二階の住宅は、1階の窓の上に屋根がかかりません。庇がなくなり、直射日光が窓に当たりやすくなりました。
さらに最近では、「軒ゼロ」と呼ばれるキューブ型のデザインが人気です。スタイリッシュな外観で魅力的ではありますが、軒や庇がまったくないため、夏の日射を遮るものが何もない状態になります。
断熱性能や気密性能は年々向上しています。にもかかわらず「夏は暑い」と感じる場合、日射遮蔽(窓から入る熱をさえぎること)が不十分なことが原因のひとつです。断熱と日射遮蔽は、どちらか一方ではなく、両方をセットで考える必要があります。
すだれ・よしずの現代版「アウターシェード」とは
昔のすだれやよしずを現代の住宅に合わせてアップデートしたのが、「アウターシェード(外付けロールスクリーン)」です。メーカーによって「スタイルシェード」などの商品名で販売されています。
仕組みはシンプルで、窓の外側に取り付けるロールカーテンのようなものです。使わないときは上部のボックスに巻き上げて収納でき、必要なときだけ下ろして使います。
すだれ・よしずと比べたときのアウターシェードのメリットは主に3つです。
① 現代の住宅デザインに馴染む
洋風の外観にもすっきり溶け込むため、見た目を損なわずに設置できます。
② ワンタッチで操作できる
台風が来たときも、ロールを巻き上げるだけですぐに収納できます。よしずを畳む手間に比べて格段に簡単です。
③ 外からの視線をさえぎる効果がある
アウターシェードを下ろした状態でも、室内からは外の景色を十分に楽しめます。一方、外からは内部が見えにくいため、プライバシーを守りながら採光を確保できます。
アウターシェードの効果。データで見ると
「本当に効果があるの?」という疑問もあるかと思います。岐阜県立森林文化アカデミーが行った実測データをご紹介します。
外気温が32℃のとき、エアコンを使用しない状態の室内温度は42℃前後になります。そこからレースカーテンを閉めると約3℃下がり、さらにアウターシェードを外側に下ろすと追加で約4℃低下するというデータがあります。合計で約7℃の差です。
この7℃という数字は、光熱費にも直接影響します。試算によれば、何も対策しない場合の夏の電気代が月2万5千円程度だとすると、レースカーテンで約2万円、アウターシェードを加えると約1万6千円程度になります。年間で換算すれば、その差は無視できない金額です。
アウターシェードが効果的な理由は、「熱を室内に入れる前にさえぎる」からです。室内のカーテンは日差しが窓を通過した後に遮るため、ガラスやカーテン自体が熱を帯びてしまいます。一方、外付けのシェードは太陽熱が窓に届く前にブロックするため、熱の侵入を7〜8割カットできるといわれています。
取り入れる際の注意点とポイント
アウターシェードを効果的に使うために、いくつかのポイントを押さえておきましょう。
朝日・西日への対応
庇では、斜めから差し込む朝日や西日を遮ることが難しいです。アウターシェードは窓全体をカバーするため、朝日・西日にも対応できます。夕方の西日が気になる部屋にも効果的です。
掃き出し窓での使い方
ウッドデッキやテラスに面した掃き出し窓では、シェードを斜めにかける方法があります。窓の上部から斜め下にフックへ固定することで、窓の下部から出入りしながら日射遮蔽の効果も得られます。
後付けも可能
アウターシェードは、既存の住宅に後付けすることもできます。ただし、新築時に設計に組み込んでおくほうが、見た目がすっきりし、取り付け位置の自由度も高くなります。
コストについて
しっかりしたオーニング(可動式の日除け屋根)は40〜50万円以上になることもありますが、アウターシェードは1か所あたり数万〜10万円程度が目安です。効果と費用のバランスが取れた選択肢といえます。
新築時に設計へ組み込むことをおすすめする理由
家づくりにおいて、断熱性能(Ua値)や気密性能(C値)が注目されることが増えました。これらの性能が高い家は冬の暖かさには大きく貢献します。しかし、日射遮蔽の対策が不十分だと、夏はいくら断熱がよくても室内に熱がこもってしまいます。
高性能な家を建てるほど、「夏の日射をどう遮るか」という視点が重要になります。
フィックスホームでは、省エネ住宅設計の第一人者である松尾和也氏に学んだ「太陽に素直な設計」を実践しています。この考え方の原則のひとつに、「南窓は大きくして冬の日射を取り込む。ただし、夏の強い日差しを遮るための外付け日射遮蔽措置を必ずセットにする」があります。アウターシェードは、まさにその「外付け日射遮蔽措置」として設計段階から位置づけているものです。
アウターシェードは後付けもできますが、新築時に取り付け位置を設計に組み込んでおくことで、外観への影響を最小限にしつつ、機能をしっかり確保できます。どの窓に設置するか、操作方式(手動か電動か)をどうするかも、間取りや生活スタイルに合わせて検討できます。
暑い夏を快適に過ごすためには、エアコン性能に頼るだけでなく、そもそも熱を「入れない」設計が大切です。アウターシェードはそのための、コストパフォーマンスに優れた有効な手段のひとつです。
夏の暑さ対策や日射遮蔽について、もっと詳しく知りたい方はぜひフィックスホームにご相談ください。滋賀の気候に合わせた家づくりのポイントを、丁寧にお伝えします。










