いい家づくりコラム

暑い室温イメージ

部屋に熱がこもるときの対策。エアコンの上手な使い方

2019.9.20

帰宅して玄関のドアを開けると、熱気がムッ。階段を1段上がるたび、どんどん耐え難い暑さになってくる・・・。帰宅が夜になって外気温が下がっていると、むしろ家の中のほうが外より暑いこともありますね。

こんなとき、とにかくエアコン下までたどり着き、最強にして冷風が出てくるのをひたすら待っていませんか?これでは電気代がかかるうえ、一度温まった空気はなかなか冷えてくれません。

今回は、部屋にこもってしまった熱への対策と、熱をこもらせない方法についてご紹介。寝室やキッチンなど、部屋ごとの具体的な対処法もぜひ参考にしてください。


部屋にこもった熱をすばやく逃がす方法

昼間の強い日差しでしっかり温められた部屋の空気は、壁や屋根に囲まれているので逃げ場がなく、夜になっても熱いまま部屋に滞留しています。これがこもった熱の正体。

午前中や夜など、部屋の中よりも外気のほうが温度が低い場合は、まず対角線の窓を開け放して空気を入れ替えます(外気温が高く、外気のほうが暑いor部屋の中と同じであれば、行わない)。
早く空気を入れ替えたいときは、窓に向けて扇風機を回し、風の流れを助けるのも効果的です。
それからエアコンをつけますが、その際は温度を低くしたり風量を最大に設定したりせず、「自動運転」にしておくのがおすすめ。エアコンが自動で最適な出力に調整するので、無駄な電力を使わず節電になります。
部屋が冷えてきたと感じたら、窓を閉めて外気から熱が侵入するのを防ぎましょう。


熱がこもるのは中途半端な断熱が原因かも

高断熱でない一般的な住宅でも、今は屋根や壁に断熱材を入れるのが普通です。ただし、「断熱材の入った家なら快適だろう」と安易に考えないようにしてください。

実は、中途半端な断熱性能の住宅は、いったん熱がたまると逃げにくく、断熱性の低い住宅よりも室温が上がりやすくなるのです。
なかでもとくに問題となるのが「窓」。窓の断熱性能が低い、南向きの窓に庇(ひさし)がない、西向きに大きな窓があるなど、夏の太陽の影響を軽視した設計は、熱をこもらせる大罪人です。窓から入った熱は部屋をどんどん温め、その熱は断熱材によって保温されるため、帰宅時の家はサウナ状態になってしまいます。高断熱住宅こそ、窓にこだわることが重要です。

あなたが「とくにこの部屋、熱がこもるなあ」と感じている部屋には、大きな窓があるのではないでしょうか?まずはその窓に、外付けブラインドやシェード、すだれなどを設置することをおすすめします。家の外で日射をさえぎり、熱が家の中に入ることを防ぎます。
外出時にはカーテンも閉め、太陽熱を徹底ブロックしておきましょう。


暑くて眠れない寝室の改善法

寝苦しい夏の夜、電気代が気になるからと、エアコンを我慢していませんか?
寝室が暑くて眠れないという場合も、まずは窓に日よけを設置して昼の日差しをさえぎり、熱をこもらせないことが有効です。

人が快適に眠れる環境は、気温が「26~28℃」、湿度は「40~60%」といわれます。夜になっても気温が下がらない熱帯夜には、エアコンを使わず自然通風でこの環境を得るのは難しいでしょう。

夜間は昼間に比べ外気温が低いため、エアコンへの負荷も小さくなります。昼間より電気代は安く済むので、タイマーで止めずに朝まで連続運転するのがおすすめ。寝入ったからといってすぐにエアコンを切ってしまうと、寝苦しくて目が覚めてしまうこともあるからです。

冷風が直接当たらないよう、フラップの角度を調整し、足元から扇風機で微風を送るようにすると、やさしい気流がうまれ、良質な眠りが得られます。
眠りが浅いと昼間の仕事や勉強にも影響するので、エアコンをかしこく使っていきましょう。


調理中キッチンにこもる熱への対策

調理には火を使うため、夏のキッチンは暑くてたまらなくなります。LDKがワンルームになっている間取りだと、熱が広がって家中が暑くなってしまうことも。そんなときに活用したいのが、ガスコンロ以外の調理器具です。

キッチンの暑さ対策の筆頭は、IHクッキングヒーターです。可能であればガスコンロに替えて取り入れると、夏のお料理タイムがぐっと快適になるでしょう。
同様に活用したいのが、電子レンジ。周囲に熱が広がらないので、キッチンに熱をこもらせません。電子レンジをうまく使えば、温めや蒸しものだけでなく、カレーや煮物などのメインメニューも簡単に作ることができます。

焼き物なら、魚焼きグリルを活用しましょう。焼き魚以外のメニューも、パリッとおいしく調理できます。閉鎖された空間で調理するので、熱が広がらず快適です。
ぐつぐつ煮込む料理の場合は、鍋に蓋をするだけでも熱の拡散を防ぐことができます。

こうした調理の工夫に加えて併用したいのが、エアコンや扇風機などの冷房機器。火さえ使っていなければ、とくに扇風機は役に立つアイテムです。キッチンに向かって風を送れば、熱気がダイニングのほうに広がるのを防ぎ、換気扇を通じて効率よく熱を排出します。


窓も含めた高断熱で、熱のこもった部屋にサヨナラ!

家に帰ってホッとするはずが、玄関で外よりひどい熱気に当てられてげんなり・・・夏が毎日そんな調子ではつらいですね。
まるで魔法瓶のように熱がこもる家というのは、「中途半端な断熱」が原因になっていることも考えられます。

窓も含め正しく設計された高断熱住宅なら、外気温の影響を受けにくいため、エアコンがよく効いて気流も起きにくく、節電にもなります。冬だけでなく夏を快適に過ごすことにも大きく貢献してくれるのが、本当の高断熱住宅。
これから家を建てる人は「中途半端な断熱」に十分注意していただき、四季を通じて快適なマイホームを手に入れてください。