いい家づくりコラム

家の中が暑すぎる!住宅のプロが教える暑さ対策とは?

2019年6月15日

家でじっとしているだけで、ジワーッと汗をかいてしまう。冷房を強くすると、足元ばかり寒くなる・・・。そんな不快に耐えるのが、夏の恒例行事になっていませんか?

実はその不快の原因は、住居の断熱性能の低さにありました。外の熱気が入り放題の家では、いくら冷房を強くしても快適にはなりません。だからといって熱さを我慢していると、今度は熱中症の危険も出てきます。

このコラムでは、夏の住居の暑さ対策を、住宅のプロの目線からご紹介。DIYでできる効果的な断熱方法や、リフォームする際のヒントをお伝えします。
本格的な夏が来る前に対策を施して、家族の健康を守っていきましょう。


外よりも家の中の方が不快に感じる2つの原因

「部屋が暑くてサウナ状態」「夜になっても温度が下がらず寝苦しい」・・・夏によく聞かれる悩みです。大きな原因として考えられるのは以下の2つ。
家の中が暑すぎる!住宅のプロが教える暑さ対策とは?

1.いったん入った熱が逃げていかないから

家の中は壁や屋根に囲まれているため、いったん内部が温まってしまうと熱がこもり、外よりも暑くなります。RC造(鉄筋コンクリート)の場合は、昼間に熱をため込み、夜になると放出するので一日を通して家の中に不快な熱がある状態に。
涼しげなイメージのある木造住宅の場合でも、2階のお部屋になると、温かい空気が1階から流れてきたり、直射日光を受けることによって温度が上がります。つまるところ、熱を室内に入れないようにしないと根本的な解決にはなりません。

この不快な熱の主な侵入経路は「窓」。差し込む太陽が光とともに、どんどん熱を室内に招き入れてしまうのです。
太陽が高い位置にあるときは、軒を出すことで太陽熱を遮ることができますが、太陽が低い位置にあるときは、窓から家の奥まで光が差し込み、かなり室温が上がってしまいます。
日本の場合、入射角が低い朝日(東面)と夕日(西面)の窓に要注意。家の温度をぐんぐん上げる犯人は、東の窓と西の窓、と覚えておいてください。

暑い部屋に身を置くことは、あなたの身体にも影響があります。
人間は、運動や食事で生じた熱を体の表面から外に放熱することで、体温調節を行っています。発熱の量よりも放熱が少ないとき、人は暑さを感じます。

しかし温度が高い室内では、自分の体温と周囲の温度が近くなり、自然に放熱することが難しくなります。外にいるときは自然風がある程度放熱をうながしてくれますが、室内ではそうもいきません。発生した熱が体内にこもることで、身体の奥からわき上がるような不快な暑さを感じることになるのです。

2.部屋の中に温度差があるから

お家で過ごす休日。暑いなと思って冷房を強めると、足もとが冷えて寒さを感じる。だからといって冷房を弱めると、今度はすぐに暑くなってしまう・・・そんな不快なスパイラルに陥っては、せっかくの休日を楽しめません。

実は同じ部屋の中にいても、頭と足元では全然違う温度になっていることがあります。
サーモグラフィカメラで冷房をつけた部屋を映してみると、床付近は25度なのに対して、天井はなんと30度以上。部屋の中だけでも5度以上の温度差があります。

部屋の上部は暑いので、頭が暑くてボーッとする、反対に足元は寒くてブルブル・・・この温度分布は、集中力が高まるといわれる「頭寒足熱」の正反対。これで快適なわけがありません。

温度差を起こしている犯人は「熱せられた屋根」。屋根の熱が天井に侵入し、部屋の上部だけが暑くなります。そしてエアコンの冷たい空気は下に溜まっていくため、部屋の中に極端な温度差ができてしまうのです。
これではいくら冷房を強めたり弱めたりしても、温度差=身体が感じる不快さはなくなりません。


家の中で熱中症になる人が一番多い

「熱中症を発症し緊急搬送!」このような見出しのニュースを見ることも夏の恒例になってきました。実は、そのニュースを見ている家の中こそ熱中症になる危険性が一番高いのです。

総務省消防庁の資料によると、平成30年5月~9月の間の熱中症緊急搬送人数は約95,000人。そのうち住居内で緊急搬送された方は約38,000人と全体の40%。部屋の中にいるからといって、決して安全ではないのです。
昼間のリビングに加え、夜間に寝室で発症する場合も多く、一日を通して油断ができない状態になっています。

昼間はエアコンや扇風機で暑さ対策をしているご家庭が多いですが、夜間はどうでしょう。節約のためにエアコンを消して寝ていませんか?
実は、「夜は気温が下がるから大丈夫」というのは甘い考え。昼間に熱せられた壁や天井は、夜になって外気温が下がると、今度は部屋の空気を温めだします。その結果、外気温よりも室内の方が暑い状態になるのです。

「建築物における衛生的環境の確保に関する法律」の定めでは、室温28度、湿度70%が快適な状態だとされています。一日中それ以下に部屋を維持したいところです。

「わたしの家は大丈夫」と思った方は、温度計と湿度計を置いて、部屋の温湿度を測ってみましょう。考えているよりも高温多湿になっている場合があります。部屋の状態を数値化することで、家の危険度を把握しやすくなります。

昼も夜も安心できないご自宅は快適だと言えません。
熱中症患者は1年前と比べても約2倍になり、家の中で発症して搬送された方も3%増加しています。今の時代、熱中症は家の中で起こる病気です。24時間体制で対策をしなければ、いつまでも命の危険にさらされたままです。

(参考:総務省消防省「過去の全国における熱中症傷病者緊急搬送に関わる報道発表一覧」より)


夏を快適に過ごすための対“暑”方法

不快なだけではなく熱中症の危険もある夏の暑さ。その対策方法として、DIYでできるものからご紹介していきましょう。

窓から入る熱(日射)を減らす方法

大切なのは、そもそも熱(日射)を室内に入れないようにすることです。上で説明したとおり、高い位置の日射は軒を出すことである程度遮られます。重要なのは朝日(東面)と夕日(西面)の対策。入射角が低いため、外付けブラインドやオーニングを取り付け、窓全体を覆う工夫をしましょう。
もっと手軽にしたいなら、ホームセンターなどで売られている断熱シートや断熱フィルムを窓に張り付ける方法も。ほかにもすだれやひさし、ブラインドが窓からの日射を防ぐ方法として代表的です。

部屋の温度差をなくす方法

エアコンの冷気が底にたまると、温度差で不快感が発生します。これを防ぐには、サーキュレーターを使って空気を循環させるのが効果的。
サーキュレーターは強い風を一直線に発生させます。エアコンの下に置いておけば、冷たい空気を部屋の上部へ送り、部屋の温度を均一化します。
扇風機だと風が多方向に散り、短距離にしか届かないため、サーキュレーターを使うのがおすすめです。


暑い夏のリフォーム、高断熱化のポイント

根本的に暑さを解決する方法は、やはり住宅の高断熱化です。

熱を室内に送り込んでいるのは主に西側と東側の窓。断熱性能に優れた窓に交換すれば、熱が室内に入り込む前にブロックでき、室内の温度上昇が防げます。リフォームの際はフレームごと替える方法か、内窓を増設し2重窓にする方法のどちらかが良いでしょう。

フレームの交換には半日ほど時間がかかりますが、アルミ製から樹脂製フレームにすることで、熱伝導率が1000分の1になり、熱の出入りがグッと抑えられます。
内窓を増設すれば、開け閉めの手間は増えますが、省コスト短時間でリフォームができます。
窓のリフォームは断熱性能以外にも、結露を防ぐ効果がありますので、お悩みの方は検討してみてください。

>リンク:「断熱窓と遮熱窓はどう違う?快適な窓辺をつくる使い分け法」

一方、部屋の温度差を防ぐためには「屋根」か「天井」を断熱化しましょう。
工法としては、屋根のすぐ下に断熱材を入れる「屋根断熱」と、天井板のすぐ裏に断熱材を入れる「天井断熱」があります。

屋根断熱だと施工の際のコストはやや割高になりますが、天井板を張る必要がなく、屋根のすぐ下から部屋空間として利用できるため、伸びやかな空間が作れます。
天井板で断熱をする天井断熱では、屋根を通過した熱が天井裏の空間にたまるため、小屋裏の空間は利用できなくなりますが、コストを抑えられるメリットがあります。
コスト面や天井裏の使用方法も考えて、あなたの住居にピッタリな方を選んでください。


エアコン買い替えより、断熱リフォームを

夏の不快感の原因は、住居の断熱性の低さ。入ってくる熱をエアコンの冷風でなんとかしようとするより、そもそも熱を家の中に入れないようにするほうが効率的です。

もしエアコンを高性能なものに買い替える予算があるなら、その予算で断熱化できるところはないか、検討してみるのも良いものです。
こうしている間にも次の夏がやってきます。家族の健康が損なわれる前に、行動を起こしていきましょう!


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