滋賀で高性能住宅を建てるときの、理想の性能数値を解説
2019.11.20
前回のコラムでは、高性能住宅の性能の比較方法についてご紹介しました。Ua値やQ値など、客観的に家の性能を比べることができる数値について、ご理解いただけたことと思います。
ところで、それぞれの数値には基準が設けられていて、北海道や東北などの寒冷地と、温暖な九州などでは異なる数値が設定されていました。
では、私たちが住む滋賀県では、いったいどの程度の値があれば快適に暮らせるのでしょうか?
今回は、滋賀やその周辺地域にお住まいの方に向け、地域を特化してお伝えしていきます。お住まいの地域の気候に合った真の高性能住宅を手に入れるために、ぜひご一読ください。
滋賀県での理想の性能数値はどのくらい?
平成28年の省エネ基準地域区分によると、滋賀県は「5地域(旧大津市以外)」)と「6地域(旧大津市)」に分類されています。そこで定められている基準値は以下になります。
5地域・・・Ua値:0.87以下、ηAC値:3.0以下
6地域・・・Ua値:0.87以下、ηAC値:2.8以下
※Ua値(ユーエーち):換気の熱損失を除いた熱損失量を、床・壁・天井・開口部の面積の合計で割った値。外皮平均熱貫流率。低いほど性能が高い
※ηAC値(イータエーシーち):冷房期における平均日射熱取得率。家がどれだけ日射熱の影響を受けるかを示す。低いほど影響を受けにくい
ただしこの数値は、快適さよりも省エネ目線で考えられた数値です。Ua値0.87は最低基準であり、これさえクリアしていれば快適に暮らせる、と考えるのは早計です。
高性能住宅の指標にしたい、HEAT20・G1グレード
フィックスホームでは、滋賀県で快適・健康に暮らすための住宅性能の最低基準を「HEAT20・G1グレード」に設定しています。具体的な数値はこちら。
5地域・・・Ua値:0.48以下、ηAC値:3.0以下
6地域・・・Ua値:0.56以下、ηAC値:2.8以下
ηAC値は平成28年省エネ基準の基準値と同じですが、Ua値が大きく異なる点に注目を。
滋賀県内の気候は北陸型、瀬戸内型、東海型の各気候区が重なり合う独特なもの。夏の暑さから一転して、冬は寒さ厳しく、風雪が強い地域もあります。Ua値がこの基準をクリアしていれば、こうした難しい気候であっても各部屋の温度差が少なく、省エネ面でも満足できる効果を感じつつ、安心して心地よい暮らしができるものと考えます。
滋賀で高性能住宅を建てる際には、ぜひ上記の値を参考にしてください。
HEAT20とは
「2020年を見据えた住宅の高断熱化技術開発委員会」の呼称です。メンバーは研究者、住宅・建材生産者団体の有志。平成28年省エネルギー基準は、世界各国の基準と比べるとレベルが低いため、民間のHEAT20の委員会が独自の基準を作りました。そのひとつがG1グレードです。
現行の省エネ基準を上回る、信頼性の高い住宅性能指標として、高性能住宅の設計者などプロの間で広く認知されています。
滋賀で高性能住宅を建てるなら、G1グレードを参考に
「北海道じゃないんだから、そんなに高い断熱性能は必要ないんじゃない?」「必要以上に断熱性能にこだわりすぎて、コストアップになるのは困る」・・・確かにその通りですね。
ただ、日本の基準は、諸外国に比べて驚くほど甘いものになっています。この基準では、せっかくクリアしても「前の家よりは、まあまあ改善されたかな」「夏が暑い、冬が寒いのはある程度しかたないよね」といった感想に終わってしまう恐れもあります。
専門家が実情に即し、忖度なく割り出したHEAT20のG1グレードは、「過不足なく、滋賀という土地柄にマッチした高性能住宅を建てたい」というニーズに応えてくれる基準です。
これをクリアすることで、「なんとなく」や「気のせい」ではなく、「確実に違いを実感できる家」を建てることができます。
さらに真の高性能住宅は、省エネや快適だけでなく、ヒートショックや脳卒中といった事故や病気をはじめ、結露によるカビやダニ、インフルエンザなどの感染症を防ぐことにも役立ち、家自体の寿命も長持ちします。
住宅会社選びをする際には、業者に「HEAT20」について質問してみるのもよいアイデア。住宅性能についてどのように考えているかを知ることができるので、快適な家づくりに役立つでしょう。