いい家づくりコラム

エアコンイメージ

高断熱住宅で、エアコンを2台使って快適をつくる方法

2020.2.20

快適な住空間をつくりたい、「冷暖房費を安くしたい」と考えているなら、高性能な省エネ住宅づくりを前提に、快適な空気の流れをもたらすエアコンの活用法を知っておくべき。

まずこのコラムでは、私たちの生活に欠かせなくなった身近な家電、エアコンの実力を再検証。効率的に使用するポイントなどをご紹介します。さらにエアコンの効果を最大限に引き出すための設計を考慮した家づくりについて考えていきます。


自然通風で快適なのは年間に何日?

春夏秋冬、窓から入る風で季節を体感できる日本の住宅。皆さんは、窓から入って来る自然な風だけで快適さを感じられる日数はどのくらいだと思いますか?

関西の場合、暖房が必要な期間は5,6ヵ月、冷房が必要な期間は2ヵ月ほど、除湿が必要な期間が1ヵ月といわれています。それに対して、自然の通風が心地よく感じられるのは実は年間で40日ほどしかありません。マイホームを考える時「風通し」を気にされる方も多いのですが、わずかな期間の快適さのために通風にばかりこだわり、冷暖房について無頓着なのは、考えものなのです。

1年間を快適に過ごすことを最優先に考えた場合、エアコンを使用することを前提に考えることが現実的。その理由を見ていきましょう。


エアコンは超優良家電

「エアコンは乾燥するから苦手」「電気代がかかるから使用はできるだけ控えたい」
といった方も多いでしょう。
しかし、暖房、冷房、除湿、1台で3役をこなせる冷暖房設備は、エアコンだけ。エアコンにマイナスイメージを持ってしまうのはむしろ、住宅側に問題がある可能性が。気密性の高い、高断熱仕様の高性能住宅であれば、エアコンの効率を高め、光熱費もおさえながら、快適な住空間を整えることが可能です。また、最近のエアコンは省エネ化が進んでいて、実は他の冷暖房器具に比べて、光熱費はそれほどかからなくなっています。ここでは、エアコンの消費電力を少しでも小さくおさえる方法をご紹介します。

【節電のポイント】
・エアコンの風量を自動設定にする
風量を自動設定にすることで、エアコンの室温感知センサーが働き、細かい温度コントロールが可能になります。手動で大風量設定にしていた場合、室温が設定温度になっても常に大風量でファンを回し続けることになるので、エネルギーを無駄に使うことになります。

・フィルタの掃除をまめに行う
フィルタを掃除せず、ほこりが詰まったまま使用していると風量が低下します。特に冷房設定で、設定温度までなかなか下がらないという場合は、フィルタが詰まっている可能性も。フィルタの汚れにより、エアコン能力は15%~20%も減少するとされています。2週間に1度は掃除機などでフィルタの掃除をすることをおすすめします。

・室外機の前面をふさがない(開放する)
室外機の前面に塀やフェンスなどがありふさがれている場合、排気がはね返って室外機に戻ってしまいます。給気と排気がお互いに影響し合うとエアコンの能力を大きく落とす原因に。

・扇風機やシーリングファンで室内の空気を対流させる。
エアコンの自動風向調整機能で部屋の空気をかくはんし、なおかつ扇風機やシーリングファンを併用すれば、ほどよく冷気と暖気がミキシングされ、快適な温度を実現できます。

・古いエアコンを買い替える。
「エアコンは電気代がかかる」というのは、ひと昔前の考え方。最近は技術の向上により省エネルギー化がすすんでいます。十年ほど前の古いエアコンを使っている場合は、最新機種に買い替えるだけで電気代が下がることを実感できるはずです。


高断熱住宅ならエアコンは一家に1台でよい?

原理的には、エアコン1台でも冬は暖かく、夏は涼しい家にすることができます。暖かい空気は上に、冷たい空気は下に溜まる性質をうまく利用し、エアコンの風向きを調整したり、サーキュレーターや扇風機をうまく併用して部屋の中に対流を作ることで、エネルギー効率が高まり快適さも増します。
ただ、エアコン1台で快適に過ごせるということは、断熱材や高性能な窓、熱を逃がさない換気システムなどを導入した、高性能な住宅であることが前提になってきます。加えて、エアコン1台で冷暖房をまかなうことには、デメリットもあります。
まず、1台に頼ってしまうことによる故障した際の不便。また、1台ですべての部屋をまかなうことになるので、消費電力は大きくなります。

それでは、2台設置の場合はどうでしょうか。
2台設置のメリットとしては、季節や人数に合わせて1台稼働と2台同時稼働を使い分けられること。そして、故障時に対応できること。さらに、2台の設置場所を工夫すれば光熱費をおさえることが可能になります。
1台は「小屋裏」と呼ばれる一戸建て住宅の屋根裏にできる空間に設置。2台目はより足元に近い床下に。
冬は床下からあがっていく暖かい空気を、夏は小屋裏から下におりていく冷たい空気を活用。季節に応じてベースとなるエアコンを使い分け、基本は1台稼働、その時々で2台同時稼働。最近の高性能なエアコンは、設定温度に近い状態で運転し続けることができるので、2台設置してお互い助け合うことで省エネにもつながります。

高性能住宅において、空気の流れをうまく活用すれば、1台よりも2台設置することでより快適な住空間を作ることができるのです。


小さな熱源で家中を冷暖房するには

エアコンはとても優秀な家電です。ただし、その機能を最大限に発揮させ、夏冬ともに快適な室温で生活するためには建物自体の断熱性、気密性能を高めることが大切。加えて、その設置場所や通気口の位置にも気を配ります。そうした質の高い仕様の住宅であれば、夏は涼しく冬は暖かい環境が実現し、小さな熱源でも適温を保つことができるわけです。
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