いい家づくりコラム

太陽光発電イメージ

太陽光発電の導入は得?電気料金の値上がりで、試算結果に大きな差が。

2022.5.20

「太陽光発電って、得なの?損なの?」
「電力の買取金額は変動するから、導入するリスクは高いのでは?」

マイホームへの太陽光発電の導入に対して、そのような疑問やイメージをお持ちではありませんか?

結論を言えば、太陽光発電の導入は「前向きに検討する価値が十分にある」といえます。

その最大の理由は、「とまらない電気料金の値上がり」です。将来的に、電気料金は現在の2倍になる可能性もあるのです。

マイホームに太陽光発電を導入した場合としない場合で、一体どれくらいの差がひらくのか。
試算を示して解説しますので、太陽光発電の導入を検討中の方や、導入にマイナスイメージのある方、将来の電気料金が不安な方は、ぜひ参考にしていただければと思います。


電気料金は今後ますます値上がりする

電気料金は、以前から少しずつ値上がりしていますが、今後も値上がりは続くとみられます。これまで、実際にどれくらい値上がりしているかご存じでしょうか。
家庭向け電気料金平均単価の推移をみると、2010年から2019年で、20.4円/kWhから24.8円/kWhと、およそ22%も上昇しています(※1)。これは燃料価格や賦課金(※2)負担率の上昇が要因です。
今後も、日本に限らずドイツやフランスなどでも、電気料金は年3%を目安に、累進的に上昇を続けると予測されています。
また、脱炭素社会の実現に向けた再生可能エネルギーの普及により、電気料金の上昇は加速するでしょう。
2021年におこなわれた総合資源エネルギー調査会の基本政策分科会では、電力量の54%を再生可能エネルギーでまかなった場合、その電力コストは2020年と比較して2倍程度となるとの試算が報告されました(※3)。再生可能エネルギーが電力量の100%を占めた場合では、電力コストは4倍にもなるため、こちらは非現実的なプランと考えられています。
電力コストが2倍を超えれば、電気料金も同程度、あるいはそれ以上の値上がりとなる可能性が高いです。

4人家族(大人2人、子供2人)の場合、平均的な電気料金は月12,000円前後といわれ、オール電化の住宅の場合17,416円(※4)にもなります。これが仮に2倍となると、家計の大きな負担となるでしょう。

このように、「電気料金は値上がりし続ける」「将来的にはとんでもない電気料金を支払うことになる」という点をふまえると、太陽光発電の導入は検討する価値があるといえます。

それでは次に、太陽光発電の導入は損か得か、実際に試算してみましょう。

(※1)経済産業省資源エネルギー庁,日本のエネルギー 2020年度版 「エネルギーの今を知る10の質問」,2022年5月16日閲覧https://www.enecho.meti.go.jp/about/pamphlet/energy2020/002/

(※2)賦課金:電力会社の再生可能エネルギー買取費用を、再生可能エネルギー発電促進賦課金として顧客が負担する。全国一律料金。

(※3) 経済産業省資源エネルギー庁,総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会(2021年5月13日)2050年カーボンニュートラルのシナリオ分析(中間報告), 2022年5月16日閲覧https://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/2021/043/043_005.pdf

(※4)関西電力,オール電化住宅の世帯別⽉間平均光熱費,2022年5月16日閲覧https://kepco.jp/denka/family_average/


実際に試算!太陽光発電を導入したら、電気料金はどうなる?

以下の設定で、実際に2022年現在から30年間の電気料金を試算してみます。

30年間の電気料金を試算

■2022年時点で電気料金が年間180,000円(15,000円/月)の一般的な戸建住宅がベース
■年間電気料金は、低く見積もって2%ずつ上昇すると仮定

太陽光発電を導入しない場合

太陽光発電を導入しない場合では、2022年から2051年までの30年間でおよそ730万円の電気料金を支払います。
そして、驚くべきことに、毎年2%ずつ上昇した場合、2051年には電気料金が年間およそ32万円(月およそ27,000円)に。2022年と比較すると、年間の電気料金が1.7倍以上となるのです。
先にお話ししたように、家庭向け電気料金平均単価が10年間で22%上昇したことを考えると、今回の試算結果も、現実的なものといえます。

太陽光発電を導入した場合、2022年から2051年までの30年間で支払う電気料金は、およそ546
万円となり、導入しない場合と比較して、およそ184万円のマイナスとなります。
導入には、初期投資や設備交換に大きな金額が必要ですが、長期的にみると、お得といえます。

■太陽光発電システムは出力4kwの一般的なサイズを想定。購入価格は1,000,000円
■購入から15年後のパワーコンディショナの更新を想定。費用は150,000円
■太陽光発電はこの家庭で使用する電力の25%を賄うものと仮定(夜間に使用する電力など、75%は関西電力から購入)
■売電は発電量の70%を想定
■売電の買取価格は2022年の関西電力の価格設定(17円/1kw)を設定
■10年目以降の買取価格は、低く見積もって5円/1kwを設定
※太陽光パネルの破損などトラブル時のコストなどは含まず

簡単な試算ではありますが、太陽光発電を導入した場合としない場合を比較すると、太陽光発電を導入したほうが、30年間の電気料金は180万円以上お得という結果になりました。自家用車をEV(電気自動車)にして、蓄電池代わりにすれば、さらに節電効果は望めるでしょう。停電時に自家発電ができるというメリットもあります。

また、いまの世界情勢を考えると、電気料金が2%ずつの上昇で収まるかも疑問です。上昇率が大きくなれば、両者の金額の差はさらに広がるでしょう。


太陽光発電の導入は、お得になる可能性大!検討時は必ず自分で試算しよう

試算の結果をみると、太陽光発電の導入は、前向きに検討する価値があるでしょう。
実際に検討する際に必ずおこなっていただきたいことは、今回のような試算です。

太陽光発電システムの性能や設置環境、気密性・断熱性といった住宅の性能、お住いの地域の電力事情などにより、試算の結果は変わります。
また、太陽光パネルを載せれば載せるほど、大きく得するかといえば、そういうわけでもありません。

そのため、ご自身の手で、ご自身の状況に合わせた試算をすることが大切です。
必要であれば専門家にアドバイスももらいながら、マイホームに太陽光発電を導入するメリットが本当にあるのかを、必ず確認しましょう。