実はコスパが良い、無垢材を使った家づくり
2023.9.20
なめらかな肌触りや爽やかな香り、古くなればなるほど深みを増す質感。無垢材には特有の魅力がありますよね。マイホームのフローリングに無垢材を使いたいと考える方もいるでしょう。
「でも、無垢フローリングって値段が高そう」そんなイメージがあるかもしれませんが、長い目でみると決して高い買い物ではないのです。
このコラムでは、無垢フローリングと一般的な複合フローリングの違いや無垢フローリングがおすすめな理由、銘木の種類と特徴などをお伝えします。ぜひマイホームづくりにお役立てください。
1. 無垢フローリングと複合フローリングの違い
2. 無垢フローリングがおすすめな理由
3. 無垢材の種類と特徴
4. 銘木をアクセントに使うのもおすすめ
5. 長期的にみると無垢フローリングは経済的◎
無垢フローリングと複合フローリングの違い
一般的なフローリングは複合フローリングと呼ばれ、合板に化粧板を張り合わせてウレタンなどの樹脂で塗装したものです。高機能でデザインも豊富、お手入れも簡単なのが特徴で、耐用年数は20年程度といわれています。なかには無垢フローリングより高価な商品もあります。
一方、木から切り出したままの木材を1枚で使用するのが無垢フローリングです。塗装にはミツロウやオイルが使われており、無垢材の種類によっては何も塗装されていないものもあります。高額な印象が強い無垢フローリングですが、複合フローリングを標準仕様としている工務店やハウスメーカーではなく、定量的に無垢材を仕入れている工務店であれば、一般的に流通している種類の無垢材の値段はそこまで高くありません。
木に調湿性があるため季節によって伸び縮みしてすき間が生じるなど、無垢材ならではの特性はありますが、古くなればなるほどに木の味わいが増して経年美化します。基本的に張り替えはおこないません。
無垢フローリングがおすすめな理由
上記の通り、複合フローリングは高機能でお手入れも簡単、商品の選択肢もたくさんあります。そんな複合フローリングよりもなぜ無垢フローリングのほうがおすすめなのか、理由をみてみましょう。
①肌触りがよい
無垢材の魅力のひとつが肌触りのよさです。さらっとしていながらも無垢材特有のなめらかさがあります。また、無垢材には段ボールのように空隙(くうげき)と呼ばれる多数のすき間があり、そこに空気が含まれていることによる保温効果で、肌が触れたときにひんやりと感じにくいです。
②フローリング表面にホコリがたまりにくい
掃除してもすぐにホコリが目立つという経験は多くの方がしていると思いますが、これには静電気が関係しています。
木そのものは静電気が発生しにくい性質ですが、複合フローリングは樹脂コーティングにより静電気が発生しやすく、表面にホコリが付着しやすい状態です。頭を下敷きで摩擦すると静電気で髪の毛がくっつく、あの現象です。掃除機をかけても掃除機から出る排気でフローリングのホコリが舞い上がり、静電気で再びフローリングに付着するという悪循環が起きているのです。
対して樹脂コーティングを施さない無垢フローリングは、静電気が発生しにくいためフローリングにホコリが付着しにくく、加えて木がもつ調湿性により床がわずかに湿気を帯びているためホコリが舞わず掃除がしやすいのです。
③劣化しにくい
板としての強度は無垢フローリングも複合フローリングも大差はありませんが、複合フローリングには無垢フローリングよりも劣化しやすい要因が主に2つあります。
ひとつは複合フローリングの構造です。複合フローリングは複数枚の板を接着剤で張り合わせています。そのため経年劣化で接着力が落ちて板同士がはがれ、次第に浮いてきます。フローリングがきしむのはこれが原因です。
もうひとつの要因は樹脂コーティングです。庭先に樹脂製のバケツなどを置きっぱなしにしておくとボロボロになってしまうのと同じように、紫外線によって樹脂コーティングは劣化します。コーティングが劣化すると保護機能が失われてフローリングの板自体の劣化が加速するため、定期的なお手入れが必要です(ワックスがけが不要な商品もあります)。適切にお手入れができていない複合フローリングは20年ほどでダメになり、張り替えを検討しなければいけません。
もちろん、無垢フローリングも日焼けしますが、そうやって色味や質感が変化していくことが無垢材の魅力です。20年が経過してからが無垢材の本番と考えてもよいでしょう。
④複合フローリングよりもコスパがよい
複合フローリングの張り替え費用の相場は6畳で10~20万円で、複数の部屋を張り替えると大きな出費になります。一方、無垢フローリングは寿命が長く、基本的に張り替えることはしません。仮に、無垢フローリングを採用して建設時にコストが数十万円プラスになったとしても、長く住めば住むほどトータルコストは複合フローリングのほうが大きくなる可能性が十分にあるのです。
複合フローリングは最初が一番よい状態で経年劣化すると考えておきましょう。
無垢材の種類と特徴
続いては代表的な無垢材をご紹介します。
無垢材の種類は広葉樹と針葉樹に分けられ、広葉樹は「重い・硬い・強い」、針葉樹は「軽い・やわらかい・肌触りがよい」という特徴があります。
スギ(針葉樹)
日本の代表的な木材で、無垢材のなかでも価格が手ごろ。木目は直線的で、材質はやわらかく保温性・防水性をもつ。お寿司屋さんの白木のカウンターはスギやヒノキでつくられたものが多い。
カエデ(広葉樹)
独特なうねりのある、きめ細やかな木目をもつ。硬くて丈夫でありながら弾力性もあり、肌触りはやわらかい。
ウォールナット(広葉樹)
世界3大銘木のひとつで、高級な樹種。オイルをひくと印象がガラッと変わり、深みのある艶やかなダークブラウンへと変化する。
オーク(広葉樹)
フローリング材のなかでも高い人気をもつ樹種で、明るい色味がナチュラルなインテリアによく合う。水に強いが、熱伝導率が大きく冬はひんやりと感じやすい。
銘木をアクセントに使うのもおすすめ
銘木とは無垢材のなかでも色や形、材質などが優れている価値の高い木材のことです。銘木があると空間に華やかさや重厚感がでます。
銘木の使用例
・玄関の框(かまち。玄関にある段差の横木の部分)や敷台
・床の間
・リビングや書斎などのカウンター
・テーブルなどの家具
テーブルに関していえば、迫力のある分厚い1枚板の天板に魅力を感じる方もいると思います。しかし、そのような大きな板は貴重ですし、切断面の割れや木の反りを防ぐために長い長い時間をかけて乾燥・処理をしているためとても値段が高いです。木そのもののコストというより時間のコストだと考えてください。
そこでおすすめしたいのが、幅が小さい板をつなぎ合わせて作られた天板です。説明がなければ繋ぎ目に気づかないほど精巧な作りで、価格も抑えられています。また、家具店ではなく銘木店であれば、テーブルの小口を丸く磨いてもらえたりと細かな注文も可能な場合があります。
ぜひ、銘木を部屋のアクセントとして取り入れてみてはいかがでしょうか。
長期的にみると無垢フローリングは経済的◎
経年劣化する複合フローリングは、長く住めば住むほど張り替えの必要性が高まります。長期的にみると無垢フローリングのほうが経済的といえるでしょう。
「値段が高いことを理由に無垢フローリングをあきらめたのに、複合フローリングのほうが高くついた」将来そんな後悔をしないように、家づくりのコストは建設費用だけではなく、長期的なコストにもしっかりと目を向けていきましょう。