いい家づくりコラム

家の間取りイメージ

家事動線だけじゃない!間取りで失敗しない3つの動線

2019.4.15

「動線って家事をするためのものでしょ?」と安易に考えていませんか?
ちょっと待ってください! その間取り、日当たりや風通し、収納はどうですか?
動線には家事以外にも重要なものがあります。
それらの動線を意識していないと「快適で安全な家」を目指していたはずなのに、「不便で危険な家」になってしまう可能性があるのです。

このコラムでは、間取りづくりで外してはいけない「人」と「太陽」と「風」、この3つの動線について解説します。これを読めば、悩んでいた間取りづくりも楽しくなるはず。
おさえるべきポイントをおさえたら、あとは自由に家族の夢を盛り込んでいきましょう!


コツ1:3つの動線を意識しよう

実際の間取りは業者と相談しながら作っていきますが、自分たちでも考えて要望を伝えるとよりよい間取りができるでしょう。
間取りづくりで大切な動線は、「人」の動線と「太陽」の動線と「風」の動線、この3つで大きくとらえると分かりやすくなります。
それぞれの動線について詳しく説明していきます。

1.人の動線

家事動線以外にも、子育ての動線や来客時の動線などがあります。一つひとつを別で考えないと、どこかでぶつかってしまう可能性が出てきます。

・家事動線

動線の中でも毎日行うことになる家事動線は重要なポイントです。
朝の忙しい時間帯に洗面所に人が渋滞するせいで洗濯ができない!
料理中にトイレから帰ってきた人にぶつかる!
こうしたイライラは、他の人の動線と被らないようにしておけば解消できます。

また、人の動線の近くに収納スペースを配置すれば時間短縮に繋がります。
洗濯物を洗う場所、取りこんでから、畳んで、タンスにしまうまでに必要な収納。
ご主人や子供が仕事、学校から帰ってきたとき、どこに荷物を置くのか。
それぞれの動線と重なるように収納スペースを設けておけば、お家に帰ってすぐにリラックスできます。

家事が楽にできるようになれば、これまでめんどうくさがっていたご家族も手伝ってくれるかもしれませんね。

・子育て動線

子供部屋から近いところにリビングを用意しておけば、お昼寝中の子どもが泣き出した時に、すぐに駆け付けることができます。
また、子供が成長した時や、二人目が産まれた時のために、部屋に仕切りをつけられるようにしておけば、いつでも一人部屋に変更できます。

・来客動線

お客様の通る道、ご案内する場所も忘れないでください。
洗濯物を見られたくなければ、洗面所を避けて動線を引くと、ご家族のプライバシーが守られます。
客間を玄関のすぐそばにすることで、お客様に家中をうろうろされません。

・注意すべき危険な動線

逆に、危険な間取りとして気をつけたいものもあります。
たとえば、キッチンからダイニングへ向かう通路が細い間取り。人通りが多いので衝突事故が起きやすくなります。人がすれ違えるくらいの幅はとりましょう。

他にも階段を上り切った先にドアがある場合も危険です。誰かが突然飛び出してきたら、大事故になるおそれが。ホールを広くとるか、引き戸にするなどの工夫をしましょう。

少々使いにくい家ならまだしも、危険な家は絶対に建ててはいけません。
さまざまな想定をして事故を防いでいきましょう。

2.太陽の動線

建築用語では「採光」と言います。簡単にいうと日当たりのよさです。

南側にはリビングとバルコニー。休日の昼間にはご家族で日向ぼっこを楽しみましょう。
日当たりをよりよくしたいといって、窓が多くなりすぎないようにしてください。家の免震性や耐震性に問題が出てきます。さらに窓は断熱性能も高くありません。夏は暑く、冬は寒い部屋にしないために大きい窓は2つ程度にしておきましょう。

北側の部屋は暗くなるというイメージがあるかもしれませんが、直射日光が当たらないので、一日を通して光量が安定しています。集中力を維持しやすいというメリットがあるので、仕事部屋、勉強部屋にするのがおすすめです。

東側には朝日が、西側には夕日が差し込みます。東側を寝室にすれば気持ちよく起床でき、西側にお部屋をつくれば日没までの間、明るく暖かい部屋で趣味を楽しめます。
東西南北それぞれで利点はあります。目的に応じて部屋を配置していきましょう。

3.風の動線

建築用語では「通風」といいます。風は入る場所と抜ける場所を用意しなければ通りません。風通しをよくすれば湿気をうまく逃がすことができ長持ちする家になります。

一般的に自然風は南から北に流れています。南と北に向かい合わせで窓を設置すれば空気がこもりません。

立地や部屋によっては、大きい窓をつけるのが難しい場合もあるでしょう。そんな時は小窓や換気扇を選択してください。
人が入って来られないサイズの小窓や換気扇なら簡単に設置することができ、防犯面やプライバシー面でも安心です。
暖かい空気は上に流れていくので、小窓や換気扇は部屋の上部に設置するようにしましょう。

自然風をうまく取り入れることで、エアコンなどに頼りすぎることもなくなり省エネ効果が期待できます。


コツ2:ライフスタイルをシミュレーションしよう

良い間取りは家族の形だけある、と言っても過言ではありません。
というのは、住む人の暮らし方しだいで間取りの良し悪しは変わるから。たとえば高齢者がおられる家庭とそうではない家庭では、段差の高さや階段の手すりの必要性など、暮らしやすい間取りに差が出るでしょう。
自分たちの暮らしにぴったりの間取りにするには、新しい家での生活をイメージしておくことが欠かせません。

ベッドで寝るなら、置くためのスペースが必要です。ふとん派の場合、押し入れがなければ収納する場所がありません。
子供にリビングで勉強をさせたいのなら、勉強するためのスペースを作りましょう。

住みにくい家にしないためにもシミュレーションを重ねてください。
自分たちの生活を考えて自由な間取りを作れるのも注文住宅の醍醐味です。

また、現住居から新居へ持ち込む予定の家具類や大型の電気製品の採寸も大切な作業です。
せっかく置き場所を作ったのに、サイズが合わなかった…では笑い話になりません。
後悔する前に、必ずきっちりと測っておきましょう。
もちろんタンスの上についている飾りを含めて!


番外編:家相(風水)を考えよう

気にするという方もいらっしゃいますので簡単に説明します。
キッチンを西に持っていくのは凶といわれています。これは冷蔵庫がない時代、食材を西日があたる部屋に置いておくと早く腐ってしまったため。
トイレを北東や南西に持っていくのも凶。なぜならジメジメしがちな北東や、西日があたって高温になりやすい南西に汚物があると、衛生的に問題があったためなのだそうです。

このように理由をひもといてみると、昔の話であることが多いのが「家相(風水)」の話。
今はほとんどのご家庭に冷蔵庫がありますし、水洗トイレでは汚物がたまることもありません。現代では当てはまらないことも多くなっています。

もし、全て決まったあとに運気が下がってしまうといわれている間取りになってしまっても心配しないでください。インテリアやお札などで運気は回復できるそうです。
無用なものが増えるのを嫌う方は、最初から運気がいい間取りを作るか、まったく気にしないほうがよさそうです。


快適・安全な家は3つの動線から

家事動線ばかりに気をとられていると、暗くてジメジメした家、危険な家になるかもしれません。
3つの動線を意識してバランスよく計画しましょう。

間取りは家づくりの中でも一番考えるのが楽しい行程です。
同じ家に住む予定の皆さんでトコトン話し合ってください。みんなでコミュニケーションを取れるいい機会だと考えましょう。

考える人が多ければそれだけアイデアも増えます。
アイデアをまとめるのは難しいですが、家族で話し合い知恵を絞ったぶんだけ、きっとより良い間取りになり、「世界で一つだけのわたしたちの家」になっていくはずです。