いい家づくりコラム

家の断熱イメージ

「暖かい家」で健康に暮らす、これからの家づくり

2017.2.12

マイホームの最も大切な役割は、家族の健康な暮らしを守ることです。
家族が安心して健康に暮らせる家とはズバリ、「夏は涼しく、冬暖かい家」だということができます。もちろん、快適に暮らすために毎月ため息をつきたくなるほどの冷暖房費がかかっていては幸せとはいえませんから、省エネであることも外せません。
「健康」に暮らし「省エネ」も実現する、四季を通じて快適な家を建てるためには、いくつかポイントがあります。滋賀で多くの家を建ててきた工務店としての経験から、なぜそのポイントが重要なのかを解説します。


冬暖かい家が命を守る

まず家づくりを考えている皆さんに知っていただきたいことは、「寒さは家族の健康に悪影響を及ぼす」ということ。夏を涼しく過ごすことも大切ですが、特に健康面で考えると、「冬暖かい家」であることが重要です。
気密性・断熱性の低い家は、リビングは暖房器具で暖かくしてもお風呂やトイレが寒いなど、家のなかで大きな温度差=「暖差」ができてしまいます。寒い脱衣所から温かいお風呂に浸かり、また寒い脱衣所に出たり、暖かいリビングから寒いトイレに行ったり・・・そうした温度差があると血圧が大きく変動します。すると脳梗塞や心筋梗塞を起こしたり、失神して溺れるなど、深刻な事故が起こりやすくなるのです。
日本では海外に比べ、ヒートショックに関連する死亡数が多く、毎年12月から3月頃の寒い時期に多く起きているのだそうです。特に滋賀県は、入浴事故の発生率が全国ワースト3位(2014年12月24日 毎日新聞より)。これは見過ごすことのできない問題ですね。
問題はヒートショックだけではありません。気密性や断熱性が低いと、インフルエンザなどウイルス性の病気や、結露によりカビが発生してアレルギーをおこすなど、さまざまな健康被害を受けることがあります。
冬もまるごと暖かい家なら家の中に「暖差」もできず、抵抗力の弱い赤ちゃんからお年寄りまで、家族みんなが健やかに暮らすことができます。まさに「冬暖かい家は家族の命を守る」と言っても過言ではないのです。


暖かい家で省エネを実現

いくら暖かい家が健康を守るといっても、夏暑いのは誰しも嫌なものです。自分は暑がりだから、冬のことより夏を涼しく過ごせる家にしたいという方もいらっしゃるでしょう。ここで省エネに関するトリビアをひとつご紹介しましょう。皆さんはエアコンの冷房と暖房、どちらに多くの費用がかかっていると思われますか?
実は10倍以上の差をつけて、暖房のほうに費用がかかっているのです。その理由は、外気と室内の温度差が、夏よりも冬の方が大きいから。35℃の空気を27℃に冷やすには8℃下げればよいですが、0℃の空気を22℃に上げようと思うと22℃の差を埋めなくてはなりません。
3倍近い差があることを考えれば、暖房の方が電気代がかかることもうなづけます。
気密性・断熱性の低い家では、エアコンでせっかく温めたり冷やしたりした空気が、どんどん逃げていってしまいます。特に冬はエアコンで温めても温めても、思ったように暖かくならないばかりか、光熱費がどんどんかさんでいくという悪循環に。
省エネな生活をしたいなら、夏涼しい家づくりを主眼にするよりも、冬暖かい家づくりを主眼にした方が、断然効率が良いということが言えるでしょう。


冬暖かく、夏は涼しく暮らせる家づくり

夏も冬も省エネで快適に暮らせる家の基本は、「高気密」「高断熱」であることです。
家をまるごと外気の影響を受けにくい高気密・高断熱構造にすることで、寒い冬は、家のなかの熱を外に逃がしにくく、暑い夏は外から熱が伝わってこないようにするのです。
そのうえで、窓のサイズや配置、吹き抜けやトップライトのつくりかた、屋根の素材や形状など、細かいところに工夫をこらすことで、冬の暖かさと夏の涼しさを両立できる家に作り上げていきます。
ここはまさに工務店・ハウスメーカーの提案力の見せ所となるわけですが、建てる家によって条件はさまざま。山風が吹くとか積雪があるといった地域ならではの特性や、土地の向き、庭の位置など、どの家も周囲の環境は千差万別。ある家ではうまくいった手法が、違う家には適さないことがあります。ですから、ハウスメーカーや工務店を選ぶときには、その地域でどれだけ多くの物件を建ててきたかを重視すべき。実績が多ければ、その地域特有の事情に対応した、活きたノウハウが蓄積されているはずだからです。


これからの家づくりの基準となる「建築物省エネ法」

もうひとつ、これから家を建てようとする人に知っていただきたいこととして「建築物省エネ法」があります。
いま、地球規模の課題として、世界中でさまざまな取り組みが行なわれています。日本では、産業や運輸部門でエネルギー消費量は減少傾向にあるものの、家庭で消費するエネルギーは年々増加傾向に。これを削減していくために、政府は住宅にも省エネ基準(建築物省エネ法)を導入することを決めています。
これは大まかに言うと、2つの物差しで住宅の省エネ度合いを測るというもの。1つは家の外側の構造が高断熱など省エネに対応しているかどうか。もう1つは照明や給湯などの設備が省エネ対応のものになっているかどうか。2020年には、こうした基準が義務化されることが決まっているのです。
これからの家づくりのトレンドは、電気や石油などのエネルギーを使って快適さを作り出すのではなく、太陽や風といった自然の力を活かすことで快適に過ごせる家。これからは、家も省エネであることが当たり前になっていくのです。


「健康」と「省エネ」両面で妥協のない家づくりを

家族の健康を守る家、省エネを実現する家づくりのためには、冬の寒さが大敵だということはお分かりいただけたと思います。では具体的に、どうすれば厳しい冬もぽかぽか快適に過ごせる家が建てられるのかと疑問に思われた方。多くの物件を建てるなかで私たちが得たノウハウを中心に、いい家づくりの知識を満載したメールマガジンを無料配信しています。配信を希望される方は、下記よりお気軽にご登録ください。

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家はこれから先何十年も家族の健康を守り続けていくもの。「健康」と「省エネ」という2つの視点を持つことは、これからの家づくりには欠かせません。家を建てることをお考えなら、ぜひ見た目やコストだけにとらわれず、これをひとつの判断基準にして、家づくりの方向性を決めていっていただきたいと思います。