いい家づくりコラム

土地選びイメージ

知って得する土地選び(1)〜基礎知識編〜

2017.4.28

マイホームの夢を現実にするためには、まず第一に土地が必要です。
しかし今マイホームの土地探しをしている人は、ほとんどの方が初めての経験なのではないでしょうか。そして今後も、土地を買う機会はほぼないでしょう。一生に一度の大きな買い物だけに、決断には不安が付きまとうことと思います。
自信を持って自分たちに最適な土地を選ぶためには、最低限必要な不動産の知識や建築の知識というものがあります。今回はそんな土地購入に関する基礎知識をご紹介していきます。


土地の価格は路線価とイコールではない

まずは皆さんを驚かせるリフォーム業界の常識をお教えします。
広告や雑誌で土地を探していると、なぜか広さなどに関わらず価格が高かったり安かったりします。いったいどのようにして、土地の価格は決まっているのでしょうか?
その答えは「需要と供給」です。土地の価格には路線価(※1)という一定の目安はありますが、実はそれほど売買価格には影響しません。土地の売買にも競争の原理が働くため、売りたい人と買いたい人のバランスによって価格が変動します。つまり、たくさん売地が出るところは比較的安く、めったに売地が出ない所は割高になるのです。
場所にもよりますが、だいたい売却価格は路線価の1.3~1.6倍だと言われています。特に駅から徒歩10分以内は人気が高く、駅から離れると急に人気がなくなる傾向が。ということは、駅近に比べて価格もぐっと低く抑えられるということです。
希望の地域が高くて手が出ないというときには、少し駅から離れたところも検討してみると良いかもしれません。
※1 路線価(ろせんか):国税庁が、贈与税や相続税を課税する場合の土地に関する評価基準として、全国11 万 7000 ヶ所の土地の価格を定めたもの。


よく見かける不動産用語、これだけは知っておこう

土地購入は素人には分からないことが多くて当たり前。何となく分かったつもりになって、スルーしてしまうのが一番危険です。理想の土地と出会うために、しっかりと知っておきましょう。

●区画整理地とは

国や地方自治体が行う土地区画整理事業によって、変形した土地や細すぎる道路を使いやすく整えたり、公園などの公共施設について新設・変更を行ったりした土地を区画整理地といいます。街並みが良いだけでなく、水道や本下水など生活のための施設もしっかりしているため、価格は高くなる傾向があります。
土地区画整理事業によって、変形した土地や細すぎる道路を使いやすく整えたり、公園などの公共施設について新設・変更を行ったりした土地を区画整理地といいます。街並みが良いだけでなく、水道や本下水など生活のための施設もしっかりしているため、価格は高くなる傾向があります。

●条件付き売地とは

土地探しをしていると頻繁に目にするワードに「建築条件付き」があります。
これは簡単にいうと、建物を建てる工務店が指定されている土地、ということ。売主が指定する業者との間で、建築工事請負契約を締結して家を建てることが土地購入の条件となっているもので、これを「条件付き売地」と言います。土地売買契約後 3ヵ月以内に、売主の指定する建築会社と工事請負契約を締結しないと土地売買契約は無効となり、その土地は購入できません。
では、他の建築業者に家づくりをまかせたい場合は、条件付き売地はあきらめなければならないのでしょうか?
実はそんなことはありません。売主は建物建築でも利益を見込んでいるので、土地価格に「条件を外すための料金」をプラスした価格でなら購入できることがほとんど。気に入った土地が条件付きだったとしてもすぐにあきらめず、一度交渉してみることをおすすめします。


土地によって建てられる建物の大きさは違う

購入した土地いっぱいに、好きな大きさ、形の建物が建てられるわけではありません。建てられる建物の大きさや高さなど、土地にはさまざまな制限があります。よく確認せずに購入すると、思い描いていたマイホームが建てられないことにもなりかねません。聞き慣れない不動産用語ですが、ぜひ覚えておきましょう。

●用途地域

ひとつの地域に住宅や高層ビル、商業施設や工場などが混在していたとしたら、暮らしにくくて大変です。こうした用途の混在を防ぐために、都市計画法で定められているのが「用途地域」です。
用途地域によって建てられるものが違うため、住環境が大きく左右されます。たとえば、住居系の土地で「第一種低層住居専用地域」「第二種低層住居専用地域」とされている地域では、建物の高さは10mまたは12mまでと決められています。
自分たちが建てようと考えている家がその用途地域で建てられるのか、住環境はどうか、土地購入を検討する前にまずはしっかりと確認しましょう。

都市計画法による定義(第9条)

用途地域

●建ぺい率

「建ぺい率」とは、土地に対する建物の建築面積(建物を真上から見た時の水平投影面積)の割合のことで、用途地域によって違います。たとえば、敷地面積100坪で建ぺい率60%の土地の場合、建築面積の上限は60坪となります。

●容積率

「容積率」とは、建物の各階の床面積合計の敷地面積に対する割合のこと。つまり、1階、2階など全ての階の床面積を合計した面積が、土地の何パーセントまで許されているかということです。たとえば容積率が80%で100坪の土地であれば、全ての階の床面積を合計して80坪までしか建てられない、ということです。

容積率と建ぺい率

●接道義務とセットバック

「接道義務」とは、「家を建てる土地は、道路の幅員が4m以上の公道もしくは私道に、2m(ないし3m)以上接していなくてはならない」というルールのこと。
また、道路の幅が4m未満だと、道路の中心線から2m敷地を後退させる「セットバック」をする必要があります。セットバックした部分の土地は、建ぺい率や容積率を算定する際の敷地面積には含まれず、この部分に塀や門などを建てることはできない決まりになっています。
道がないと、火災や救急などの緊急時に緊急車両が近くまで入れません。消火や救命活動をスムーズにするためのものであり、これらのルールを守っていない土地には、家を建てることはできないことを覚えておきましょう。

接道義務とセットバック


土地選びのチェックポイント4つ

(1)相場をチェック

まずは全体の予算から、建物の予算を考えて土地の予算を決めます。そして家を建てたいエリアの相場をチェックします。だいたいの相場を知っておけば、物件が出たとき割高か割安かの判断をつけることができます。

(2)その土地の過去をチェック

過去に海、沼、池、田んぼだった場所を埋め立てた土地は、地盤に不安がある場合があります。図書館にある古地図や、過去の住宅地図を使ってチェックしましょう。

(3)制約の有無をチェック

土地の用途地域、接道条件、建ぺい率、容積率、建てられる高さの制限などをチェックしておきましょう。

(4)周辺環境を自分の目でチェック

長く暮らすうえで周辺環境はとても大切。購入を決める前に必ず、実際にその場所へ行って確かめておきましょう。
不動産書類に書いてある条件は、80mを徒歩1分と計算するなど、あくまで机上のもの。上り坂なのか下り坂なのか、開かずの踏切や騒音など、実際に足を運んでみなければ分からないことが数多くあります。また、朝と夜や、平日と土日、晴れと雨でまったく町の雰囲気が違うなど、時間帯や天候によっても土地の印象が変わることがあります。
書類情報をうのみにせず、可能なら複数回、時間帯を変えて自分の目でチェックすることをおすすめします。


土地選びは家づくり成功の要

いくら予算内で素敵な家を建てたとしても、環境に満足できなければ家づくりが成功したと言うことはできません。逆に良い土地を購入することができれば、家づくりは半分成功したようなもの。
責任重大な土地選びですが、知識を身につけ順を追ってチェックポイントを潰していけば、決して怖いものではありません。
今回ご紹介した基礎知識を身につけたうえで、次回は実際に理想の土地と出会うための具体的なステップについて、詳しくご紹介していきたいと思います。