いい家づくりコラム

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省エネ住宅、頼れる業者を見きわめる6つのポイント

2017.8.24

省エネ住宅って得をしそうで興味があるけど、気密とか断熱とかよくわからないし、専門用語も多いし、なんとなくこっちの会社のほうが「省エネっぽい」からこっちに決めようかな・・・
そんな「○○ぽさ」で住宅業者を決めてしまうと、思ったほどの省エネ効果が得られず後々後悔することに。なんとなくの業者選びで失敗しがちな理由と、よい省エネ住宅を建ててくれる住宅業者の見きわめ方を解説していきます。


住宅業者は「なんとなく省エネっぽい」で決めない!

よい省エネ住宅を分かりやすく人間にたとえると、「保温性の高いダウンウエアを、ぴっちりと前ファスナーを閉じて着ている」ような状態。身体がつくりだす温かい空気を外へ逃がさず、外の冷たい空気はしっかりとシャットアウトしています。だから特別なことをしなくても、寒い冬を温かく快適に過ごせるのです。
これとは正反対の「よくない省エネ住宅」とは、どんなものでしょうか。目を閉じて「裸で体じゅうにカイロを貼り付けた人」を想像してみてください。カイロが最新の省エネ機器、裸は気密性や断熱性に乏しい構造を表しています。こんなばかばかしい格好では、いくらカイロが温かいといっても寒くて外を出歩けませんよね。

つまり、せっかく最新の省エネ機器でエネルギーを創ったり節約したりしていても、基本的な間取りや窓の配置などでエネルギーを垂れ流しているような家では、省エネ効果は実感できない、ということ。でも、省エネ住宅に関して知識やスキルに乏しいと、こんなおかしな家を建ててしまうことがあり得るのです。
特に省エネ関連は専門用語が多く、素人にはよくわからないと敬遠されがちな分野。だからこそ「なんとなく良さそう」というイメージだけで選ぶと失敗することに。「省エネ性能の高い住宅」を謳っている業者なら大丈夫だろう、と油断せず、実績とノウハウを備えた住宅業者を自分で見きわめる必要があるのです。


省エネに意識の高い業者を選ぶ

2020年の義務化に向けて、国は住宅の省エネ化を推奨しています。省エネ性能等級が4以上になると、国から補助金が支給されたり、ローンの金利や減税などの優遇措置があります。
ただし、これら省エネ法への対応や毎年変わる補助金の手続きなどは、難解で煩雑をきわめるため、こうした分野にうとい業者も存在するのが現実。
補助金や優遇措置を受けることを考えているなら、候補に挙げている住宅業者が省エネ法関連に詳しい知識を持っているかどうか、まずは確認しておきましょう。
また机上の知識だけでなく、省エネに関する施工能力についてもチェックが必要。壁のなかの断熱材が隙間なく隅々までぴっちり収められているかなど、細かいところで断熱性能に差が出てきます。完成してしまうと見えなくなる部分は手を抜きやすい部分ですが、そんなところで業者の省エネ技術、ひいては家づくりに対する姿勢が表れます。現場見学会でしっかり確認しておきましょう。


6つのポイントで業者を見きわめる

住宅の省エネには、下記の6項目がそれぞれ深く関わっています。
(1)高気密
(2)高断熱
(3)冬の日射取得
(4)夏の日射遮蔽
(5)給湯器の選択
(6)エアコンが効く間取り

家づくりの依頼先はハウスメーカー、建築家、地元工務店と大きく分けて3つありますが、このうちのどこを選んだとしても、この「6つの総合力」が不可欠。
6つのうちいくつかが得意な業者であっても、不得意分野や経験に乏しい分野がひとつでもあれば、あなたの省エネ住宅づくりをまかせるには不安が残ると言えるでしょう。
これらの6項目をすべて豊富な知識と経験でフォローしてくれる業者を見きわめるには、「あれもこれもできます、得意です」と言うセールスマンの言葉を鵜呑みにしていてはダメ。きちんとそれを裏付ける数字や実績を見せてもらい、難しい話でも分かったフリをせずにどんどん質問しましょう。答えにつまったり、質問をはぐらかすような住宅業者は候補から外すことをお勧めします。

具体的にはやはり現場見学会などに出向き、実際に建てた現場を見ること。住宅業者と実際に会って話をするなかで、その会社が家づくりで重視していること、基本的な考え方、会社の雰囲気などを確かめることができます。
それらの会話のなかで、建てた家と住む人をこれからも守っていく覚悟があるかどうか、また6項目についての設計力と知識が豊富かどうかをじっくり見きわめるようにしてください。


パッシブデザインでコストを抑え省エネを実現

省エネ住宅を検討しようとすると、とかく最新の省エネ機器ばかりに目がいきがち。しかし私たちが先に述べた6項目のなかで省エネ機器に関する項目は(5)の給湯器だけです。それ以外の項目はすべて家の構造や間取りに関することばかり。
なぜそれほど設計に重きをおくべきなのかという理由には2つあります。ひとつは、機器導入に偏ってしまうと家づくりのコストは大幅に跳ね上がり、他の部分にコストをかけられなくなってしまうから。もうひとつは、設計段階で間違ってしまうとその後何十年もの間、「暑い、寒い、高い光熱費」という3重苦を背負い込むことになるからなのです。

人間は自然の力には勝てません。夏の日差しを防ぎつつ冬の太陽熱は取り込むなど、窓や間取りの工夫で自然の力を味方につける設計=パッシブデザインこそ、この先何十年も家族の快適を支える答えです。ところがパッシブデザインの知識とノウハウが不足していると、エネルギーが効率良く使われず、思ったほどの効果を実感できないことさえあるのです。
フィックスホームは、滋賀で実際に多くの施工例を手がけるなかで、数々のパッシブデザインのノウハウを蓄積してきました。次回の省エネ住宅コラムでは、そのなかで得た窓やトップライトの考え方、吹き抜けや屋根の形状など、パッシブデザインの設計ルールを具体的にお伝えしていきます。