いい家づくりコラム

地震イメージ

地震から命を守る家とは?後悔しない耐震リフォームのコツ

2017.9.5

地震などの災害に備え、水や食料などの防災グッズを備蓄している人は多いのではないでしょうか?でも、地震から家族の命と財産を守るためには、それ以上に大切なことがあります。それは、地震があっても潰れない家に住むこと。まずは一番大きな揺れが来たときに、生き延びられる家であることが前提です。

家はどんどん劣化していくもの。地震対策をするなら、現時点で我が家の耐震性はどのくらいあるのかを把握することから始めてみませんか?


命を守るのは、地震があっても潰れない家

阪神・淡路大震災のときに亡くなった人は、77%が窒息・圧死が原因でした。つまり、家屋の倒壊がなければ、多くの方の命が失われずに済んだのです。
いざというとき家族の命を守るのは、大きな揺れがきても潰れることのない家だということができるでしょう。
地震大国・日本で安心して暮らすためには、現在住んでいる家の耐震性能を把握し、必要に応じて適切な耐震リフォームを行なうことが重要です。


我が家の耐震性能を知るには?

我が家の耐震性能は安心レベルなのか、それとも要注意レベルなのか、正確に把握していますか?

マイホームが新築なら、壁量計算や構造計算によって耐震性能をはじき出すことができますし、2000年に行なわれた耐震基準の改正により、それ以前に建てられた建物に比べて耐震性能も高いことが期待できます。
一方新築ではなく、ある程度の築年数を経た家の場合、耐震性能を知るには「耐震診断」をする必要があります。プロに頼まなくてはならず、費用もかかるので少しハードルが高く感じるのも事実です。

そんなときはまず、簡易的に自分でできるチェックをしてみましょう。ある程度自分でもマイホームの状況を把握していれば、業者に言われるまま不要な工事をしてしまう、といった失敗を防ぐこともできます。

リンク:誰でもできる我が家の耐震診断(一般財団法人 日本建築防災協会)

家は建った瞬間からどんどん経年劣化していくため、新築時に大丈夫だったからではなく、今現在の耐震性を知っておくことが大切。上記の自己診断で評点が低かった場合は、すぐにでも専門家に耐震診断を依頼しましょう。
行政は無料・もしくは数千円、または補助金を出すなどして、プロによる耐震診断を促進しています。オトクに耐震診断を受けられる可能性があるので、ぜひお住まいの自治体に確認してみてください。


耐震リフォーム工事の4つの柱

家の耐震性を左右するのは、主に下記の4つの視点。この4点を中心に、必要な耐震リフォームを行なっていきます。

1. 基礎部分

基礎部分が脆弱だったり、無筋コンクリートを使っている場合は、耐震リフォームをして強度を補強します。鉄筋コンクリートを無筋コンクリートに一体化させる方法が多く使われます。{イラストで図解}
ヒビが入っている場合は、専用の補修材を注入して修繕します。

2. 壁の補強

斜めに筋交いを入れて補強したり、四角い構造用合板を打ち付けたりして耐震性を上げていきます。{イラストで図解}
窓などの開口部が大きかったり多かったりすると耐震性が落ちるため、不要な窓を塞ぐことでも強度を上げることができます。

3. 柱・梁・土台

地震で建物がゆがむと、斜めになった柱が土台や梁から抜けてしまうことがあります。そこで耐震リフォームでは、金物を使ってこれらの接合部を補強していきます。
湿気やシロアリなどの被害で木がボロボロになっている場合は、その部分を新しい木材で継ぎ足す「根継ぎ」を行ないます。{イラストで図解}

4. 屋根

家の構造が同じ場合、建物の重量が軽ければ軽いほど、地震の際の揺れは小さくなります。だからといって「瓦は重いから耐震性が低い」「瓦を軽い屋根材に変えれば耐震リフォームになる」というのには誤解があります。
そもそも、1981年に改正された建築基準法で、構造計算に屋根の重さを考慮することが義務づけられたため、それ以降に建てられた瓦屋根の家は、その重さに耐えうる構造になっています。
老朽化や無計画な増築などによって構造自体の耐震性が落ちたものを、軽いガルバリウム鋼鈑などに変えたからといって、それだけで安心してしまうのは早計というもの。屋根材の選択は、構造全体の強度確保と並行して行なう必要があります。


耐震リフォームには補助金を活用しよう

耐震リフォームをする際は、各自治体が補助金制度を設けているので、ぜひそれを活用しましょう。耐震性能の評点が、1.0未満の住宅を1.0以上にするリフォームなら、補助金を受けとることができます。補助金額は自治体によって違うため、問い合わせてみましょう。

その際の注意点が2つあります。ひとつは、事後申請は認められないこと。工事の前に申請し、補助金の交付決定を受けてから工事を行ない、完了報告をすることで補助金を利用することができます。
また悪質な業者による水増し工事などを防ぐため、自治体によっては登録した施工業者しか、補助金を利用できなくなっていることもありますので、耐震リフォームに興味を持ったら、まずは自治体に確認してみましょう。