いい家づくりコラム

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電力買取制度の今後は?これからの電気は自宅消費がマル!

2018.9.10

太陽光発電を自宅に設置したら、楽しみなのが売電による収入ですね。
ただし、電力が固定価格で買い取ってもらえる制度は、2019年から順次終了してしまいます。売電価格は年々下がる傾向にあるので、将来的には思っていたほどの収入にはならない可能性が。
そんな今後を見据えて、お得な電気の作り方と使い方をご紹介します。

設置に大きなコストがかかる太陽光発電。経済的にメリットを出すためには、長期的な計画が必要です。
後になって「そんなこと知らなかった!」「業者は教えてくれなかった!」と悔しい思いをすることのないよう、今後の制度の動向や電力事情は、自分でもしっかりとチェックをしていきましょう。


固定価格買取制度は2019年から順次終了

固定価格買取制度とは、10年の間、法律で定められた固定価格でエネルギーを買い取ってもらえる制度です。目的は、太陽光や風力などの再生可能エネルギーを助成し、普及を促進すること。価格が適切なら、再生可能エネルギーの普及促進に効果が高いとされています。
この制度は2009年に始まったので、2019年には終了を迎える家庭が出てきます。さらに新たな申請も2019年をもって終了となります。これが太陽光発電の「2019年問題」。
導入から10年が過ぎると、太陽光発電で作った電気はその時の価格で買い取られます。突然売電できなくなるわけではないのですが、売電価格は年々下がっているため、11年目から売電のメリットがぐっと小さくなる可能性が。まずはそのリスクを知っておきましょう。


11年目からは「売るより使う」が正解!

固定価格で守られなくなったとき、電気がいくらで売れるのかはまだ決まっていません。ただ、平成28年度の経済産業省の資料では、「11円/kWh」という売電価格を想定しています。

電力会社から買う電気の平均価格を「24円/kWh」とすると、「11円/kWh」はその半分以下の価格。そうすると、「安く電気を売る」より、「高い電気を買わない」ほうが、確実にお得になります。

そのためには自宅で作った電気はできるだけ自宅で使うことや、電気を作れないときにはなるべく使わないことが大切。
さらに、蓄電池を導入して余った電気を貯めておき、必要なときに使うのもおすすめの方法です。

これから太陽光発電を最大限に有効活用していくには、太陽が出ている間に電気を使うライフスタイルや、蓄電池の導入が重要ポイントに。
逆にいえば、こうしたポイントを押さえておけば、11年目以降や2019年より後の導入であっても、しっかりと太陽光発電のメリットを出していくことは可能なのです。


固定買取制度が終わった後も、太陽光発電でメリットを出す方法

固定買取制度がなくなる11年目からは、洗濯機や乾燥機、炊飯などはタイマー機能を使うなどして、できるだけ自家発電をしている昼間に行うようにしましょう。

蓄電池の設置もぜひ検討したいところ。昼間に作った電気を蓄電池に貯めておき、夜間はそれを使って生活します。
V2Hに対応した電気自動車なら、バッテリーを蓄電池代わりに使えます。これからマイホームの新築&太陽光発電の導入を考えているなら、10年後に車を電気自動車に買い替えることも視野に入れ、計画しておくと良いかもしれませんね。

また、固定買取制度が終了するタイミングでエコキュートを導入し、夜間ではなく昼間にお湯を沸かしてしまうのも一案です。
買電の量をできるだけゼロに近づけることによって、電気代を安く抑え太陽光発電のメリットを最大化します。

上記以外にも、2016年の電力自由化から、電力業界に新規参入した事業者(PPS)が、固定買取価格に上乗せした価格で電力を買い取ってくれる「プレミアム買取サービス」というものを始めています。固定買取価格よりも1~2円ほど高く買い取ってくれることが多いので、検討してみても良いでしょう。


業者の話を鵜呑みにしないこと

太陽光発電に多くのメリットがあることは事実です。ただし、それらのメリットをロスなく享受するには長期的な計画が必要に。
原発の稼働状況が不安定な現在、国の電力政策は目まぐるしく変わる可能性があります。業者の話をそのまま鵜呑みにせず、自分でも経済産業省などから発表される資料をチェックするようにしましょう。

とくに導入から11年目からや、2019年より後の導入では売電価格が大幅に下がることは、計画に織り込んでおくことが欠かせません。蓄電池がない状態で、共働きで昼間家にいなかったりすると、せっかくの太陽光発電もメリットが得にくくなってしまいます。

太陽光発電には検討事項が多いので、10年後を見据えてじっくりと計画を練り、自分たちのライフスタイルに合わせて導入することが大切です。
また、太陽光発電に関する技術や機器も日進月歩ですから、期限をかざして必要以上に急かしてくる業者は要注意。業者の話を鵜呑みにして、深く検討しないまま購入することのないように気をつけましょう。