いい家づくりコラム

ZEHで失敗したくないなら、数字のマジックに要注意!

2018年11月25日

大邸宅が立ち並ぶ住宅展示場に行くと、「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス=ゼッチ)」の文字があちこちに大きく踊っていますね。大手ハウスメーカーではZEHを積極的に押し出しています。

年間のエネルギー消費量が正味でおおむねゼロ以下になる住宅・ZEHは、国も補助金を出して推進している高性能な省エネ住宅。ZEHならとりあえず間違いない、どこに頼んでも大差ない、とあなたは考えているかもしれません。ところがそこに大きな落とし穴があります。

実はZEH基準を満たす家であってもポイントを間違えると、エコでも快適でもない家ができあがってしまうのです。
今回のコラムでは、メーカーが言いたがらないその理由と、どうすれば失敗を防げるのかについて、くわしくお伝えしていきましょう。


エコじゃないZEHとはどんなもの?

ZEHを達成するためには、3つの要素が必要です。
1つは住宅の断熱性能を高めること。2つめは省エネルギータイプの給湯設備やエアコン、LED照明等の設備。そして3つめが、エネルギーを創りだす太陽光発電です。

1と2で使うエネルギーを少なくし、3でエネルギーを創り出す。この2つの差し引きがゼロ以下になれば、ZEHの基準を満たします。ということは、1で使うエネルギー量が大きくても、2や3で補ってしまえば、数字の上ではZEHが成り立つということです。

ZEHとお金

もう少しかみ砕いていうと、断熱性能が低くて隙間風が入るような家であっても、エネルギー効率の高い給湯設備やエアコンなどの機器を投入し、容量の大きな太陽光発電を搭載してしまえば、大手を振ってZEHを名乗れてしまうというわけなのです。

しかしこのようにしてつくられたZEHは、家の中に温度ムラができて快適に過ごせないばかりでなく、省エネ機器も消耗すれば廃棄し、新しく交換しなければなりません。ハイスペックな省エネ機器をフル稼働させ、消耗したら入れ替える・・・そんな暮らしがエコといえるかどうかは、考えるまでもないでしょう。


エコじゃないZEHで起こること

上記のような強引なやり方で取り繕ったZEHに住んだ場合、起こりうるマイナス点を以下に挙げてみましょう。

・家自体の断熱性能が低いので、家のなかに温度ムラができ、生活にストレスがかかる。
・暑さ、寒さをしのぐため、エアコンを強にして過ごす毎日。
・10〜15年ほどで機器が消耗すると、買い替えやメンテナンスに費用がかさむ。

たとえば冬ならば、いくらエアコンを強にして部屋の温度を上げても、断熱性能が低いと窓や壁から寒気が侵入してきます。すると暖かい空気は上に行き、冷たい空気は下にたまるため、頭は暑いのに足元はいつまでも寒いという不快な状況に。

夏なら、熱くなった天井から発する遠赤外線が、住む人の頭を熱します。エアコンで冷たい空気を送り込んでも、冷たい空気は下にたまるばかり。上に滞留した空気は熱いままになってしまいます。

建ててしばらくの間は、光熱費だけを見れば確かにお得になるのですが、10年もすれば給湯器やエアコンなどが次々に交換期に入ります。このとき買い換えやメンテナンスの費用が想定以上にかさむと、ZEHのコストメリットも大きく損なわれてしまいます。


大切なのは省エネ機器ではなく「家の断熱」

上で述べたような失敗を避けるためには、ZEHの3つの要素のうち、「家の断熱」を最優先させることが何よりも重要です。2番目に高効率機器、そして最後にくるのが再生可能エネルギー機器(太陽光発電)とするべきです。

ところが多くのハウスメーカーでは、ZEHの優先順位が逆になっているのが現状です。
ZEHといえば、まず大容量の太陽光発電。そして給湯設備などの高効率機器。もっとも優先させるべき、家の断熱性能、気密性能については後回しになっているのです。

その理由は、家の断熱・気密性を高めるよりも、エアコンや給湯器を高効率なものにする方が、確実で簡単だから。いくら工場で正確に切り出した部材でも、組み立てるのは人の手、そして凸凹のある土のうえです。コンマミリ単位の正確性を保証するのは、大手ハウスメーカーにとってリスクが大きすぎるのです。

魅力的な数字やグラフが並んだZEHの資料。でも大事なのは機器の性能ではなく、家自体の性能です。
本当にその容量の設備が必要なのか、オーバースペックではないのか・・・。美辞麗句のなかにメーカー側の都合が隠れていないか、よく注意して見てみましょう。


本当にエコで快適なZEHを建てよう

ひとことでZEHと言っても、その中身は一軒いっけん異なります。建てる側の都合を優先し、数字のマジックで作り上げたZEHなら、本当のエコとは程遠く、住む人の快適性も置き去りになってしまいます。

ZEHはどこで建てても同じではありません。満足できるエコ性能、住み心地を手に入れるなら、高断熱・高気密住宅を確実に手掛けられる業者を選ぶことが必須です。そこにこだわるかどうかで、住んでの快適性、経済性、家族の健康には大きな違いが出ることでしょう。


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