いい家づくりコラム

意外と知らない24時間換気システム。上手に使うコツは?

2021年12月20日

前回のコラム「実は危険な空気の汚れ!上手な換気で健やかな暮らしを」でも述べたように、健やかな生活を送るためには住まいの換気がとても大切です。国土交通省はシックハウス症候群の撲滅を目指し、2003年7月に改正建築基準法を施行。台所や浴室、洗面所、トイレのみならず、すべての居室で24時間換気ができるよう、換気設備の設置が義務づけられました。

ところが、この換気システムについて、「実際どのようなシステムなのか、よく知らない」「どう使えばいいのか分からないから、そのまま放置」という方も多いのではないでしょうか。なかには、「うちはエアコンを使っているから大丈夫」「とくに換気しなくても、空気清浄機で部屋のなかをキレイにしているから」という方も……。
でもちょっと待って!そもそも、エアコン・空気清浄機と換気システムとは仕組みがまったく異なり、それらではお部屋の換気はできないのです。

今回のコラムでは、知っているようで知らない24時間換気システムについて、もう少し詳しくご紹介。正しく知って上手に活用していくことで、より快適で健康的な住まいを目指しましょう。


エアコンとは違う!空気の入れ換えを行う「換気」とは

コロナ禍で空気の質に対する関心が高まるなか、大手空調機器メーカー・ダイキン工業は「換気に関する実態調査」(2020年4月24日~26日、全国500人の男女に実施)を行いました。その結果、半数以上の人が“エアコンで換気ができる”と誤解していることが明らかになったそうです。

そもそもエアコンの機能は、「部屋の中の空気を吸い込んで」、その空気を冷たくしたり温かくしたりした後に「部屋の中に戻す」ことで、快適な環境をつくるもの。ところが、多くの人はエアコンから出ている空気が「家の外から取り入れたもの」だと勘違い。空気清浄機も同様で、こちらも「部屋の中の空気を吸い込んで」、花粉やチリやホコリなどの粒子や臭いのもとになる物質をフィルターで濾過した後「部屋の中に戻す」動きを行っているのです。

一方、換気とは、「部屋の中の汚れた空気と、外の新鮮な空気を入れ換える」こと。つまり、室内の空気を外に出し(排気)、外の空気を部屋の中に取り入れる(給気)ことをいいます。したがって、エアコンでは室内をキレイにすることはできませんし、空気清浄機は花粉やホコリ、細菌を取り除くことはできても、呼吸による二酸化炭素やウイルスを外に追い出すことはできないのです。


なぜ換気が義務化されたの?その答えは住まいの「気密化」にあり

2003年に建築基準法が改正される前までは、24時間換気システムの設置義務はありませんでした。なぜなら、高温多湿な気候風土に合わせ、木や土などの天然素材と障子や襖などで作られていた昔の日本家屋は、通気性も良く、新鮮な空気を自然と取り込めていたからです。その反面、すき間風が吹く室内は暖房してもなかなか温まらず、冬場は寒い思いをしなければなりませんでした。

そうした住まいを、つねに快適な環境へと改善するために、住宅はどんどん高気密化・高断熱化へ。その結果、寒さや暑さの影響を受けにくく、暖房効率の良い省エネな住まいが可能になりました。しかし、その一方で、空気が外に逃げない室内では、湿気や化学物質などが溜まるようになり、ホルムアルデヒドや、家の中に潜むダニやカビなど、住宅が原因となってさまざまな健康障害が出る「シックハウス症候群」の発症につながっていきました。

24時間換気システムの義務化は、そうした住まいの変化のなかで、住む人を守るために誕生した法律なのです。


3つの換気方法と、それぞれのメリット・デメリット

では、24時間換気システムとは具体的にどんなものがあるのでしょうか。前回のコラムでも述べたように、換気システムには「第1種換気方式」「第2種換気方式」「第3種換気方式」の3タイプあります。これから住まいをつくる場合には、いったいどれを選べばいいのか、まずは、それぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。

第1種換気方式/機械で給気・機械で排気

外気を室内に取り込む「給気」と、室内の空気を外に排出する「排気」の両方を、換気扇などの機械によって行う方法。
(メリット)
空気の循環を最もコントロールしやすく、安定した換気効果が期待できます。
(デメリット)
給気・排気両方に換気扇が必要となり、他の方式と比較して設置コストが高め。また、ダクト内に蓄積されたホコリの清掃やフィルター交換など、メンテナンス費用も必要。

第2種換気方式/機械で給気・自然に排気

外気の取り入れにより家内の気圧が上がると、外との気圧差が生じて自然と外に向かって空気の流れが発生。この原理を利用し、給気は機械を用い、排気は自然に行う方式。
(メリット)
機械を用いるのが給気のみなので、第1種方式と比較すると設置費用を安く抑えられます。つねに家外の気圧より家内の気圧が高く、自然と家内の空気が外に流れる状態に。

(デメリット)
気密性能が高くない住宅では、すき間から室内の水蒸気を含んだ空気が外側に流れるため、冬に結露を起こす可能性も。住宅で採用されることはほとんどありません。

第3種換気方式/自然に給気・機械で排気

第2種換気方式とは逆で、機械によって室内の空気を排気し続けることで、給気口から自然と外気を取り入れる方式。
(メリット)
機械を用いるのが排気のみなので、第1種方式と比較すると設置費用を安く、内部結露が起きにくいのでランニングコストも低く抑えられます。近年増えている高気密・高断熱住宅にも適した換気方式で、24時間換気が義務付けられた現在、最も採用されている換気方式。
(デメリット)
すべての部屋に給気口が必要で、開口部が増えるぶん外気温の影響を受けやすく、冬は冷たい空気が、夏は熱い空気が入ってくるので、室温の維持がむずかしい状態に。特に、気密性の低い昔の日本家屋などは、空調費が高くなります。また、給気口の設置場所によって、家具の配置を考える必要があります。


理想の換気システム「熱交換換気」とは?

それぞれにメリットもあれば、デメリットもある換気システム。一般的に、住宅で最も多く採用されているのは、低コストでの設置が可能な第3種換気方式ですが、換気の際に室内の気温を維持できないというデメリットは見逃せないところ。せっかくエアコンで快適温度にしても外気の影響を受けてしまうので、空調効率は下がってしまいます。また、「排気ファンの音が気になる」「うるさい」といった理由で、換気扇の電源を切ってしまうケースもあるようです。

では、どうすれば換気しつつ、室温を維持できるのか――その答えが、第1種換気方式に熱交換換気装置を備えた「第1種熱交換型換気システム」なのです。
熱交換換気とは、外気を室内の温度に近づけてから内部に取り入れること。つまり、冬場であれば冷たい外気を温かな室温に近づけて給気し、夏場であれば熱い外気を涼しい室温に近づけて給気。室温を変えず快適なまま換気をすることができ、空調コストも最小限に抑えることが可能になります。

ただし、給・排気ともに機械を使用し、さらに熱交換換気装置が必要になるためコストがかかり、フィルターの掃除や交換といったメンテナンスにかかる手間や費用もかかります。そのかわり、空調効率はアップするので、電気代などランニングコストとの比較でトータルに判断することをオススメします。また、寒暖差が比較的少なく、音を気にせず常時換気扇を動かしておける環境なら、第3種換気方式がベストだといえるでしょう。


24時間換気システムを正しく使うポイントは

マンション・戸建てにかかわらず、建築基準法改正後の2003年7月以降に建てられた建物には、もともと換気をする仕組みがついています。それら装置をしっかりと活用するためにも、次のポイントを抑えておくことが大切です。

●換気口をふさいだり、スイッチをオフにしないこと!
●フィルターは定期的にお掃除を!フィルター交換の目安は1年に1回
●窓開けの換気もプラスしてより効果的に!

せっかく換気システムが備わっていても、正しく使わなければその機能を発揮させることはできません。また、作動させていても、フィルターにホコリが溜まっていては正常に機能していないことも。気持ち良く健康的な生活を送るためにも、今回のコラムを参考にご自宅の「24時間換気システム」を要チェック!住宅設備を有効に活用し、快適な住空間を手に入れましょう。


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