注文住宅の着工〜引き渡しまでに行う大切なこと
2021.3.15
新築住宅の工事請負契約を交わすと、家づくりも佳境。いよいよ着工し、あとは完成を待つばかり・・・、とのんびりしたいところですが、そういうわけにはいきません。施主として工事中にも行っておくべき大切なことがあるのです。
今回は、工事中や引越し前後にやっておくことや確認すべきチェックポイントをご紹介します。だんだんできあがっていくわが家を眺めるのを楽しみながら、引き渡しまでの数ヵ月間、家づくりのラストスパートをかけましょう。
1. 現場に顔を出して関係づくりを
2. 工事中にチェックしておきたいポイント
3. 施工中に生じた疑問や変更はどうする?
4. 竣工検査で見るべきポイント
5. 引き渡し前後に行うこと
6. マイホームで安心して暮らすために
現場に顔を出して関係づくりを
工事中はできるだけ現場を訪れるようにしましょう。施主が顔を出すと、現場の空気が引き締まります。といっても、手抜き工事をしていないか見張りに行くのではなく、施工をしてくれる職人さんとコミュニケーションをとり、顔の見える関係を築くことが目的です。「いつもありがとうございます」「お疲れ様です」と頑張りをねぎらうとともに完成を楽しみにしていることを伝えて、良好な信頼関係を築きましょう。職人さんも、ご家族が住むことを想像しながら仕事ができて、「この人のためにいい家を建てよう」と自然に思うようになるものです。
工事の期間は一般的に、2〜3ヵ月。日を追うごとにできあがっていく様子は見ていてもワクワクします。「何度も行くと大工さんの邪魔になるのでは」と思わず、工事中も家づくりを楽しみましょう。
工事中にチェックしておきたいポイント
建物の基礎や骨組みは、工事中しか見ることができません。ぜひこの期間に訪れて、どのような工事が行われているのか見てください。
基礎の段階では、アンカーボルトが2.7m以内の間隔で埋め込まれているか、鉄筋の本数が図面通りになっているかがポイント。骨組みができたら、柱と柱の間に壁を作るための「間柱」や、斜めに入れる「筋交い」もチェックしておきましょう。建築基準法では、筋交いの板は幅90mm以上必要で、理想では105mm以上と定められています。寸法を測っておくと安心です。ただ、現場で作業する職人さんの気分を害さないよう、写真を撮ったり寸法を計測したりする場合は、必ず事前に現場監督さんに断りを入れておくことが大切です。また、質問や気になることがあればその都度現場監督に相談すると良いでしょう。
またこの段階で、社内検査と検査機関による検査が行われます。その際には写真をもらっておきましょう。
施工中に生じた変更はどうする?
工事が進むにつれて、「やっぱりここは変更したい」と思うことが出てくるかもしれません。その場合は、作業をしている大工さんに直接お願いするのではなく、まずは工事の責任者や住宅会社に相談を。飾り棚やデスクを造作したり、棚をつけるために壁に補強材を入れたりする程度なら、柔軟に対応してもらえることがあります。この場合もトラブルを防ぐために、変更内容を文書化しておくことが大切です。
材料などに関する大きな変更の場合は、現場で建てる在来工法なら対応してもらえる可能性もありますが、工場で部材をカットするプレカット工法の場合は難しいです。窓や建具なども、発注後の返品は基本的に受け付けてくれません。変更によっては、その部分の費用は二倍に。できるだけロスが発生しないように、事前にしっかり打ち合わせしておくことが大切です。
竣工検査で見るべきポイント
工事が完了したら、後日、施主立ち会いのもと最後チェックが行われます。図面や仕様書と照らし合わせながら、契約通りに工事が行われたかを一つひとつ確かめていきます。不具合が見つかった場合や契約内容と違う工事がされている場合は、直してもらった後で引き渡しを受けましょう。もし、引き渡しが先になってしまう場合でも、追加工事の内容と期限を明確に、書面にしておくことは忘れずに。
主なチェックポイント
・間取りは設計図通りになっていますか?
・建材や壁紙、設備などは仕様書通りになっていますか?
・窓やドアなどの開け閉めはスムーズにできますか?
・床にきしみはありませんか?
・クロスに接着不良やシワ、たるみはありませんか?
・角や隅のおさまりはキレイですか?
・照明器具や設備は正常に動作しますか?
・スイッチやコンセントの位置や数は合っていますか?
・タイル部分や窓まわり、バルコニーはしっかりコーキングされていますか?
・給水箇所や排水管に水漏れはありませんか?
・水の流れは正常ですか?
・傷や反りはありませんか?
・床下は清掃されていますか?
引き渡し前後に行うこと
住宅を建てるだけでなく、引越しやそれに伴う手続きを行うことも家づくりの一部です。引き渡し前にできることは先に済ませておくことをおすすめします。また、引き渡し後も重要な手続きが残っています。速やかに、次のことを確実に行いましょう。
カギや書類一式が揃っているか確認
家のカギや、新築住宅に必ずついてくる10年保証の保証書、キッチンやバスなどの設備関係の説明書が揃っているか確認を。できれば読んでおくのがベストです。
保険の加入
火災保険や地震保険、損害保険に加入しましょう。工事中は住宅会社が万一に備えて保険をかけています。引き渡し日が適用開始日になるように加入手続きを行い、空白期間が生まれないようにすることが大切です。
登記手続き
家が正式にあなたのものになるのは、登記手続きを済ませた後です。「表示登記」「抵当権設定」を速やかに行いましょう。住宅会社や銀行が紹介する司法書士や知り合いの司法書士に依頼すると確実で手間が省けます。
役所手続き
転出届と転入届を、引越し前後2週間以内に行いましょう。それにともない、印鑑登録や児童手当て、国民健康保険、銀行や免許、マイナンバーなどの住所変更なども必要です。できるかぎり早く手続きをしておきましょう。
近隣への挨拶
引越し後は家の片付けでバタバタしてしまうので、近隣への挨拶は引越し前に済ませておくのがおすすめです。工事中も、近隣には騒音などで迷惑をかけます。工事前に一度挨拶をして、引越しし前にもう一度挨拶するのが丁寧ですね。
マイホームで安心して暮らすために
防犯対策も、安心して暮らすためには欠かせません。最近は一般家庭でも加入しやすい価格帯のホームセキュリティが普及していますし、AIやIoT技術を使った最新の防犯機器も販売されています。機器の設置は、建築工事と同時に依頼しておくと手間が一度で済みますね。
チェックと備えを万全に、楽しいマイホームライフをスタートさせましょう。