家づくりで後悔しない。より良いエクステリアの考え方
2021.2.28
資金計画や土地選び、間取りプラン、設備の選択など、家づくりには考えなければならないことが山ほどあります。そうしたなかで、ついつい後回しにされがちなのが、門や塀、玄関アプローチ、駐車場などの外構を含む外部空間づくり。つまり、エクステリアです。
「とりあえず駐車場があれば大丈夫」「予算もないし、門や塀は取り付けなくても良いかな」など安易に決めてしまうと、実際暮らし始めてから不便さや居心地の悪さを感じてしまうことも少なくありません。エクステリアは、住まいの表情を決める重要なデザイン要素のひとつであると同時に、プライバシーや防犯性を高めてくれる大切なものなのです。
そこで今回、家づくりで後悔や失敗をしないために、エステリアづくりをより良く成功させるためのポイントをご紹介いたします。
1. 建物の間取りプランと同時に考えよう
2. 敷地をゾーニングして考えよう
3. 快適性の向上から考えよう
4. プライバシーと防犯から考えよう
5. 大切なのは叶えたい暮らしをイメージすること
建物の間取りプランと同時に考えよう
快適で暮らしやすい住まいを実現するためには、建物だけではなく、敷地の中をどうプランニングするか、建物も外まわりも同時に検討することが大切です。間取りプランを優先してエクステリアを後回しにした場合、たとえば、「リビングから直接出られるウッドデッキが欲しいな」と思っても、敷地に十分な広さが残っておらず設置することができないことも。また、せっかく駐車場をつくったのに、車の出し入れがやりにくいといったことになってしまう場合も。
日々の生活動線を考えながら住まいの中と外を同時に設計していくことが、より快適な空間づくりには不可欠なのです。
その際、敷地と道路の関係性も、考えるべき大きなポイントのひとつ。実は、家を建てるための敷地は、建築基準法上の道路に必ず2m以上接していなければならないという「接道義務」が定められています。そして、敷地のどちらの方角に道路があるかで、最適な配置が変わってくることを注意しておきましょう。
南側道路の場合
陽の当たる南側に玄関や駐車場、庭などさまざまな機能が集中し、スペースに余裕がなくなる傾向に。ライフスタイルにあったしっかりとしたエクステリア計画が不可欠となり、また、道路側からの視線対策などプライバシーの確保も大きな課題となります。
北側道路の場合
南側に庭を位置し、広さを確保しようとするほど道路と玄関の距離が近くなります。そのため、アプローチ部分のエクステリアが重要に。また、隣家と接する南側には視線を遮る外構の工夫も必要です。
東&西側道路の場合
道路側にアプローチ、玄関、駐車場を配置することで、すべての居室の窓を建物の南面に設定することが可能。南向きで日当たりの良い部屋を、連続して確保することができます。ただし、土地の形状によっては建物が小さくなる傾向も。
敷地をゾーニングして考えよう
次にポイントになるのがゾーニングです。ゾーニングとは、門から玄関までのアプローチや、駐車スペースやサービスヤード、お庭や中庭など、毎日の生活が便利になる導線を考えながら、それぞれの位置と広さを大まかにイメージすること。まずは、敷地を4つゾーンに分け、それぞれが果たす役割をみていきましょう。
門周り・アプローチ
道路に面した門から玄関までの通路とその周辺をアプローチと呼びます。最も人目に触れる場所であり、住まいの第一印象を決める重要なポイントですね。門から玄関の中がすぐに見えないよう工夫を施し、防犯効果を高める役割もあります。
メインガーデン
リビングやダイニングから続く庭のスペースは、最も住宅と関わりが深い場所。土間やウッドデッキにしてアウトドアリングとして使うのか、ガーデニングや観賞を楽しむ庭にするのか、趣味やライフスタイルに合わせた幅広い用途が考えられます。
サービスヤード
キッチンや勝手口の周辺に設けられる、屋外での家事作業の場となるスペース。洗濯や物干し場、ゴミの一時置き場、屋外用品の収納など、日常生活ではなくてはならないエリアです。
駐車スペース
一般的には、隣地境界側に寄せて配置することが多い駐車スペース。日常的な車の出入りのし易さはもちろん、玄関やサービスヤードへのスムーズな動線、建物との距離などを考慮し、レイアウトを決定します。
快適性の向上から考えよう
エクステリアは住まいにおける外部空間ですが、実は、室内空間に大きな影響を与える重要な要素でもあります。配置やデザインによっては、家の中が暗く風通しが悪くなってしまうこともありますし、逆に、オープンになりすぎて外からの視線が気になり、ずっとカーテンを閉めた生活を余儀なくされたりすることも。せっかくキレイなお庭をつくっても、家のなかから眺められないのではもったいないですよね。
快適で心地よい暮らしを叶えるためにはどんなエクステリアが良いのか、先ほど述べたゾーンごとにプランのポイントをみていきましょう。
門周り・アプローチのポイント
家の出入りや来客時など、毎日使う場所だからこそ便利さや快適さが重要。玄関から郵便ポストまでの距離や雨を防ぐ屋根・庇(ひさし)、階段やスロープの手摺(す)りなど、日常動作を想定しながら、心地よくスムーズに動けるデザインを。
メインガーデンのポイント
室内空間と最も深い関係にある場所だからこそ、考えたいのが採光と通風。敷地の向きや近隣との距離、陽の光の入り方などを考慮しながら、デッキや庭、壁をつくりたいもの。とくに、アウトドアリビングにするなら、プライバシーの確保も忘れずに。
サービスヤードのポイント
たとえば勝手口のすぐそばに分別ゴミの仮置き場を設けたり、庭の手入れやペットの世話など水作業をしやすいように立水栓を設置したり、いかに機能的な空間にするかが使い勝手を向上させます。夜間照明やコンセントをどこにどう配置するかも重要ポイント。
駐車スペースのポイント
駐車場は単に車を駐められれば良いというわけではありません。人の乗り降りや荷物の出し入れはスムーズか、駐車場から家の入り口までの距離や環境はどうなのか、車を安全に格納できているかどうかなど、考えるべきポイントが意外にもりだくさんです。
プライバシーと防犯から考えよう
デザイン性や快適性、機能性など、エクステリアが果たす役割はいくつもありますが、なかでも一番大きな役割が、プライバシーの確保と防犯でしょう。
塀や門扉の設置は費用が高額になるため、「家にお金をかけたいから」と予算の問題で削る人が増えています。しかし、不法侵入を防止するためにも、塀や門扉は不可欠。また、周辺環境や近隣との距離感によっては、家の中が外部からの視線にさらされることに。
その反面、やみくもに家を囲ってしまうと、侵入者が身を隠しやすい死角を生み出してしまうケースもあるから要注意。気兼ねなく安心して暮らすために、家族を守るための対策としてエクテリアを考えていきましょう。
塀や門扉は適切なデザインを
外からの視線をほどよく遮(さえぎ)りつつも、見通しや風通しの良いデザインを選択。プライバシーの確保と防犯面を考慮し、敷地の性格に適したものを選ぶことが重要です。
窓の防犯には面格子やシャッターを
大きな開口部には、防犯ガラスや二十窓を採用することで防犯性がアップ。要所要所に面格子やシャッターを取り付ければ、長期不在時も安心です。
家の周りに音の出る砂利を
歩くたびに音がする防犯砂利は、不審者を食い止めるのに役立つアイテムのひとつ。玄関や窓など、侵入の恐れのある場所にまいておきましょう。
安心・安全の夜間照明を
意外と見落としがちなのが夜間の暗さです。足元の安全と防犯対策としてセンサーライトなどの夜間照明を設置しましょう。おしゃれにライトアップすればデザイン性もアップします。
大切なのは叶えたい暮らしをイメージすること
今回、エステリアづくりをより良く成功させるためのポイントをご紹介しましたが、考えるべき要素はたくさんあり、さまざまな角度から最適な答えを導くのは、結構難しそうです。
また、高齢化やライフスタイルの変化で、エクステリアの在り方も変わっていくでしょう。
ベストなプランを考えるうえで大切なのは、わが家でどんな暮らし方をし、どんな時間を過ごしていきたいかをしっかりイメージすること。それによって、最適な敷地や住まいのカタチ、それを取り巻くエクステリアのプランが見えてくるはずです。
まずは住宅会社に相談し、土地探しの段階からプランまで、一つひとつ納得しながら家づくりを進めていくのはいかがでしょう。プロフェッショナルの豊富な知識やアイデアを借りながら、思い描く理想の住空間を叶えてください。