いい家づくりコラム

子ども部屋イメージ

キーワードは「柔軟」。和室・子供部屋の間取りの考え方

2020.8.17

家づくりをするうえで大切な間取りのプランニング。今回のコラムでは、和室と子供部屋の間取りの考え方についてご紹介します。

和室や子供部屋は、LDKとは異なり、家族が毎日長い時間を過ごす場所ではありません。しかしどちらも、間取りに工夫をすることで、家族の生活はいっそう便利に、豊かになります。ポイントは、ライフステージに応じた柔軟な間取り。部屋の役割を固定しすぎず、変化する家族の生活とともに、空間の使い方も変化させられるような、自由度の高い間取りを考えることが大切です。
それでは、和室と子供部屋の役割や間取りの考え方をみていきましょう。


和室は必要?不必要?

和室は、仏間として、また、来客時におもてなしをしたり、ご両親やご友人などゲストが泊まったりする部屋として活躍します。言うなれば、必要な時に使うために備えておく空間。ただ、そのためだけに和室をつくるのは、使用頻度が低くてもったいないように思われます。実際、空間のムダ使いになってしまうという理由から、和室を作らない方も増えているようです。
まずは、和室を作るメリット・デメリットを見てみましょう。

【和室のメリット】

ベッドやチェアなどの家具を置かなくてもいい和室は、応接間や寝室、お子さんのプレイスペースのほか、赤ちゃんのお昼寝にも使える多目的な場所。洋室より柔軟な使い方ができます。また、畳や和紙など、湿度調節できる素材が日本の気候風土と調和し、一年を通して快適に過ごすことができます。

【和室のデメリット】

せっかく和室のためにスペースを割いても、使用頻度が低いと空間のムダ使いになってしまいます。寝室として使う場合は、布団の上げ下げなどを面倒に感じるかもしれません。

メリットは裏を返せばデメリットに、デメリットは考え方によってはメリットになります。そこはあなたのライフスタイルや価値観しだい。でも、少し工夫を加えれば、普段から便利に使えて、いざというときは来客の対応もできるようなフレキシブルな空間にすることも可能。
次に、和室の間取りの考え方や気を付けたいポイントをみていきましょう。


柔軟に使える和室のバリエーション

・リビングとひとつながりの和室

リビングの延長線上に和室を設け、ふすまや引き戸で仕切るようにします。普段は扉をオープンにすれば、リビングとひとつながりの、のびやかな空間が生まれます。ポイントは、内装の雰囲気を合わせること。壁紙はもちろんですが、意外に目立つのが畳の縁の色。ベージュなどの淡い色に抑えると、洋室と一つの空間にあっても違和感がありません。

・小上がりの和室

リビングとつながった和室のなかでも、段差をつけた小上がりの和室なら、空間に変化が生まれ、間延びした印象も与えません。このとき、リビングでイスに座ったときと、和室で畳に座ったときの目線の高さを合わせておくのがポイント。こうすることでリビングとのコミュニケーションがスムーズになります。また、床下を収納にすれば収納家具を置く必要がなく、和室自体も広く使えます。

・ダイニングとつながった和室

ダイニングと和室をつなげることで、食卓を囲むだんらんの時間を畳の上で楽しめます。小上がりの畳をダイニングテーブルとくっつけて、イスがわりに使ってみる。心地よい畳に腰掛けて食事するなんて、心地良さそうですね。パパやママの食事中に、隣で赤ちゃんを寝かせておくにも便利です。常に目の届く場所で、まるで一緒に食事しているような安心感があります。また、足腰の悪い年配の方にも座りやすいでしょう。

・コンパクトな畳コーナー

独立した和室を作らなくても、LDKに3,4畳ほどの小さな畳コーナーがあれば大活躍。赤ちゃんのお昼寝やお子さんのプレイルームにはもちろん、パパやママがゴロンと横になって、い草の香りを感じながらくつろぐこともできます。洗濯物を畳んだりアイロンがけをしたり、ちょっとした家事にも使いやすいでしょう。押入れを作る場合は、床から浮いたような「吊り押入れ」がおすすめ。小さなスペースも広く見えますし、下の空間を床の間代わりに使うこともできます。


成長によって変化する子供部屋の役割

子供部屋は、お子さんの成長や進学や就職などのライフステージの変化に応じて使い方が変わります。

・赤ちゃん〜幼児期

パパやママの目の届く場所で遊ぶことが多いので、リビングの一角で十分。個室は必要ないでしょう。

・小学生

リビングで遊んだり宿題をしたりと、まだまだ家族と一緒に過ごす時間が多いものですが、高学年くらいになると個室を欲しがることもあります。ただ、個室をつくるにしても、家族との時間も長く過ごせるように、兄弟姉妹と共用にする、遊ぶスペースだけはリビングに残す、といった配慮をしておくとお子さんも安心です。

・中学生〜高校生

思春期のデリケートな心を持つこの時期、子供部屋は、触られたくない完全なプライベートゾーンになります。共用の部屋であっても、真ん中で仕切ったり、自分専用の机やスペースを確保したりといった工夫が必要をしてあげたいですね。

・大学生以降

就職、結婚などを機に、いずれは家を離れて独立していくもの。持ち主のいなくなった子供部屋をどう活用するかは、キーポイント。ご夫婦の趣味の部屋や書斎など、日常的に使える空間にしましょう。ベッドを残しておけば、お子さんが帰省時に泊まることができます。


子供部屋の間取りの考え方

・大きなスペースを区切って使う

お子さんが2人以上いるご家庭は、小さなうちは広い一部屋で一緒に遊び、個室をほしがるようになったら間仕切りをしてプライベートな空間を作るのがおすすめです。一番手軽なのは、カーテンやブラインドで仕切る方法です。クローゼットやドア、コンセントなどを2部屋になることを前提に設置しておけば、のちのち立派なワンルームになります。大きなスペースは、お子さんが独立した後も柔軟に使える点が魅力です。

・ロフトを生かした秘密基地

子供部屋の上にロフトをつくってお子さんが遊べる場所にすれば、空間を有効活用できるだけでなく、お子さんだけの「秘密基地」に。子供は、小さくて狭い空間を独り占めするのが大好きです。

・収納スペースを確保する

子供部屋は、学習机やベッドのほか、学校や部活で使う本や道具、バッグなど、モノがあふれがち。ごちゃごちゃとなった部屋では、大事なモノを探してもなかなか見つからないし、掃除も大変です。お子さんが自分で自分のものを管理できるように、ロフトベッドを備え付けて下の空間を有効活用したり、クローゼットを大きめにしてすっきりと片付けられるようにしたり、ひと工夫を。

・子供部屋を配置する場所は?

お子さんが健やかに育つように、日当たりや風通しのよい場所に配置するご家庭はたくさんあります。日中も気持ちよく勉強やプライベートの時間を過ごせるでしょう。ただ、いつかお子さんが独立したとき、家の一等地が物置きになってしまう、という事態は避けたいもの。将来をみすえた使い方も考えておくことが大切です。
なかには、「自分の部屋にこもってほしくない。子供部屋は寝るだけ」とわりきって、あえて日当たりがよくない場所に子供部屋を配置し、代わりにリビングにスタディコーナーを設けるご家庭もあります。考え方は家庭それぞれ。ご家族で話し合い、ベストな配置を選択しましょう。


ポイントは自由で柔軟な空間づくり

和室や子供部屋の役割は、ライフステージやシーンによって変化します。役割に応じて柔軟に使えるように、自由度が高い空間をつくることがポイントです。
和室や子供部屋の間取りには、家族の人生設計が反映されます。今、どのように暮らしたいのか、という希望はもちろん、お子さんとどのような関係を築きたいか、どんなふうに過ごしてほしいか、将来はご夫婦の時間をどのように使うのか。長く充実した人生に思いを馳せながら、後悔のない間取りのある家づくりを目指しましょう。