快適な睡眠の空間づくり。寝室の間取りプランの考え方
2020.9.10
「寝るだけの部屋だし来客の目にも触れないから」と寝室の間取りは軽く考えがち。でも、朝まぶしくて早くに目が覚めてしまったり、騒音が気になり眠れないようでは体の疲れが取れず、心にも体にもゆとりのある暮らしを送れません。一日の終わりに体をゆっくり休め、翌朝気持ちよく目覚めるには、快適な空間で安眠できる寝室をつくることが大切。「余った場所」を寝室にあてるのではなく、周辺道路との距離や隣家との位置関係も頭に入れて、しっかりと間取りをプランニングしましょう。
今回は、安眠できる寝室づくりをするためのポイントをご紹介します。
1. 3つのポイント「光」「音」「プライバシー」
2. 寝るだけじゃない、寝室の目的を考える
3. 寝室は共用にする?別室にする?
4. 和室にするときに気を付けるポイント
5. 家事動線をスムーズに
6.インテリアにもこだわって安眠を誘う空間づくりを
3つのポイント「光」「音」「プライバシー」
寝室の間取りを考える上で必ず抑えておきたいポイントが「光」・「音」・「プライバシー」の3つ。これらは、窓の位置や大きさに関係しています。
・光
東向きに窓があると、朝日がさしこみます。とくに夏場は陽の光が強いので、まぶしさと明るさで必要以上に早く目覚めてしまうかもしれません。かといって西向きに窓を設置すると、夕方に西日が入り込み、室内に熱がこもってしまいます。また、外灯の光も意外とまぶしいもの。道路に面した部屋では、夜、電気を消しても室内が真っ暗にならないことがあります。
窓は、大きさや方角、道路との位置関係をよく考えて、家のどの場所に寝室を配置するかを決めましょう。立地の関係で希望通りの場所に配置できない場合は、断熱性や遮光性に優れたガラスや、ペアガラス・トリプルガラスで窓の断熱性を高めるとよいでしょう。遮光性のあるカーテンや雨戸、シャッターなどを取り付けて、光量を調整するのもおすすめです。
・音
寝室が道路に面していると、車やバイクが走る音、人の話し声が気になってしまうかもしれません。寝室は、ほかの部屋や隣家から漏れる音で眠りを妨げられない場所に配置するのがベター。遮音性に優れた窓を採用すれば、道路からの音をカットしてくれます。
・プライバシー
プライバシーの観点からも、防犯上の理由からも、寝室は外から見えないようにしておきたいもの。まずは、道路や近隣の家からの視線が届かないように、窓の位置や大きさを考えましょう。遮光カーテンや雨戸で目線を遮ることもできますが、昼間は光や風を最大限取り入れたいところ。目線より上に高窓を設置すると、光や風を通しながらも外からの視線を遮ってくれます。和室の場合は、足元からほんのり明るくしてくれる地窓を設けるという手もあります。
寝るだけじゃない、寝室の役割を考える
寝室は、寝るだけではなく、寝るまでの時間と起きた後の時間を過ごす空間としての役割もあります。
・身支度の空間に
寝室に必要な家具はそれほど多くないので、壁一面をクローゼットにできます。季節ものの服をしまっておくにも便利ですし、朝起きてからすぐに身支度を済ませてリビングへ、というスムーズな生活動線を作ることもできます。また、パウダーコーナーを部屋の一角に配置するのもいいでしょう。
・寝るまでの時間を楽しむ{
テレビやパソコンを置けば、寝るまでのひとときをテレビを観たりインターネットを楽しんだりして過ごせます。ホテルのようにベッドの横にワークスペースを設けて、寝る前にメールチェックしたり、ちょっとした仕事場にもできますね。
・親子の時間を楽しむ
お子さんが小さいあいだは、ご家族で一緒に寝るご家庭が多いと思います。枕元にラックを設けて絵本を置いておき、寝る前にお子さんの好きな一冊を読み聞かせるようにすれば、忙しい日々のなかにも親子の時間を楽しめます。本を読み終えたら寝る、という習慣があると、お子さんも眠りにつきやすくなるでしょう。ただし、お子さんのためにとあれこれモノを置きすぎると、気が散って逆に眠れなくなるかもしれません。寝室に置くアイテムは厳選して、少なめに抑えましょう。
寝室は共用にする?別室にする?
ご夫婦で寝室を一緒にするか、別室にするかはあらかじめ決めておきましょう。お互いの生活時間が一緒なら同じ寝室で寝起きしても良いですが、生活リズムが違うとストレスを生じかねません。そんなときは思いきって別室にすることをおすすめします。
スペースの問題で寝室を分けることができない場合は、ベッドに工夫を。シングルベッドを二つにするか、大きめのベッドを選びましょう。この場合は、ある程度の広さを寝室に確保する必要があります。ダブルベッドなら4.5畳あれば置けますが、シングルベッドを2つだとくっつけて置くとしても6畳は必要。サイドテーブルなどを置くなら8畳は必要です。
睡眠はとても大切。相手に遠慮せず、お互いに快適に眠れる環境づくりをしてください。
和室にするときに気を付けるポイント
寝室は洋室にして、布団の片付けの手間がいらないベッドを置くのが主流です。でも、和室に布団を敷いて眠ることで得られるメリットもあります。い草の香りに癒されながら眠りにつく時間は心地よいものですし、布団を片付ければ、昼間は客間やお子さんのプレイスペースなど、別の用途にも使うことができます。気をつけたいのは、布団を収納するスペースに加えて、収納する手間がかかるということ。毎日のことなので、家族のライフスタイルに合わせて柔軟に考えましょう。
家事動線をスムーズに
寝室にベランダを隣接させ、出入りしやすい大きな窓を設けると、持ち運びが大変な布団でも「干す」「取り込む」が楽にできます。室外機など大きなものをベランダに置いてしまうと出入りがしにくくなるので、置き場所にはご注意を。
また、ベランダから寝室、洗濯場の動線をスムーズにしておくと、「洗濯する」「干す」「しまう」がとてもスムーズになります。とくに、濡れて重くなった洗濯物を抱えて階段を上り下りするのは大変。将来のことを考えると、寝室と同じフロアで、ダイレクトにアクセスできる場所に水まわりや物干し場があることが理想です。
寝室は普段ゲストが立ち入らない場所なので、雨の日の室内干しスペースとしても活用できます。また、寝室自体が和室ではなくても、畳コーナーを設ければ、取り込んだ洗濯物を一時的に置いたりアイロンがけしたりするスペースとして便利に活用できます。
インテリアにもこだわって安眠を誘う空間づくりを
室内のインテリアも、快眠には欠かせない要素です。癒しの色や素材を取り入れて、リラックスできる空間を演出してみましょう。
・照明
横になったときにダウンライトが真上にあると、光が直接目に入ってまぶしくなってしまいます。ダウンライトの場合は設置位置に気をつけましょう。
眠る前にテレビを観たりパソコンをしたりする場合は、白熱色より明るい照明がほしいところ。でも、蛍光灯の白い光の中でテレビやパソコンを観ていると、目が覚めてしまうことがあります。作業をするときは明るい光に、リラックスしたいときはやさしい光に、と照明の色温度や光量を調整できるようにしておくことをおすすめします。
・壁紙
壁全体が真っ白だと、清潔感はありますがどことなく冷たい印象に。リラックス感を演出するなら、ブルー系、それも鮮やかすぎない深みのあるブルーの壁紙がおすすめです。枕元の壁一面だけ色を変えて、アクセントクロスにするといっそうおしゃれ。壁紙を変更できない場合は、カーテンを落ち着いた色にするとよいでしょう。
・レイアウト
ベッドを壁際に置くのではなく中央に置くと、室内のレイアウトがシンメトリーになり安定感が生まれます。窓からベッドを離すことで、外気や光の影響も受けにくくなって快適度が増し、一石二鳥です。
寝室の間取りのプランニングで最優先すべきは、やはり快適な睡眠です。まずは安眠できる空間にすることを第一に考え、その後で家事動線や生活動線を工夫していきましょう。空間をどう生かせば快適な寝室がつくれるか、楽しみながら家族でアイデアを出しあって、理想の暮らしにつなげてくださいね。