耐震性や寿命に関する疑問を解決。木造住宅を選ぶべき理由
2021.9.20
戸建て住宅に採用される建築構造には、大きく分けて「木造」「鉄骨造」「RC造」の3つがあります。総務省が公表している「平成30年住宅・土地統計調査住宅数概数集計」によると、このうち木造住宅が日本の戸建て住宅の9割以上を占めています。たしかに、まちを歩いてみても一戸建ては木造住宅ばかりが目につきますね。
これほど木造住宅が多いのには理由があります。鉄骨やRCと比べて、木材のほうが材料費が安く、建築コストが抑えられるというのも一つの理由。しかしそれ以上に大きな理由が、木という自然素材に優れた性質があること。木の家に住むことで、住み手はその魅力をめいっぱい感じることができます。具体的には、どんないいコトがあるのでしょうか。
日本の戸建て住宅に木造が多い理由
日本の住まいに木造が古くから選ばれているのには、日本独特の理由があります。
気候風土になじむから
木は吸湿性や通気性に優れているので、暑くて湿度の高い日本にぴったりの建材。木で建てた家は、部屋の空気をさらりと心地よく保ち、住みやすい環境を整えてくれます。
木造建築の技術が高いから
日本の文化を支えてきた寺社仏閣は木造で建築されてきました。そのため、木造建築の技術が古くから発展し、一般住宅にも広く普及。庶民にとっても一番身近な住宅になりました。
木造建築の耐久性、防耐火性、耐震性
鉄骨造やRC造と比較すると、木造住宅の耐久性や耐震性はなんとなく低いように思えます。万が一火事になった時にも、どんどん燃え広がってしまいそう…。なのになぜ、日本人は木造建築を選んできたのでしょう。
木造住宅の寿命は短い?!
国土交通省が発表している資料「期待耐用年数の導出及び内外装・設備の更新による価値向上について」によると、木造住宅の寿命は30年〜100年。ずいぶん差がありますが、これは耐震性や耐久性に配慮して建てられているかどうかの違い。標準的な仕様では約40年、長期優良住宅の場合は100年以上の耐用年数が期待できるとされています。
しかし、こうした数字以上に説得力を持つのが実物です。日本には、世界最古の木造建築物が現存しています。それは、みなさんもご存知の法隆寺。建てられたのは1000年以上前。自然災害を幾度となく乗りこえ、今なお荘厳な姿を見せてくれています。この事実が、木がいかに強く丈夫な建材であるかを物語っています。
参考リンク:国土交通省「期待耐用年数の導出及び内外装・設備の更新による価値向上について」
火事に弱そう?!
木は、火がつくとすぐに燃え広がってしまいそうなイメージがあります。しかし実際は、木が燃えると炭になるため、芯まで燃え尽きるにはかなり時間がかかり、急激に強度が低下したり燃え広がったりするわけではありません。一般社団法人「木を活かす建築推進協議会」による2015年の調査で、「木造建築の防耐火性」について詳しく検証されているので、興味のある方は読んでみてくださいね。
参考リンク:木を活かす建築推進協議会「木造建築の防耐火性」
木造は地震ですぐに倒れそう!?
「大地震が起きたとき、木造住宅はバラバラと崩れてしまいそう」。そんなことはありません。現行の建築基準法を満たす木造住宅の場合、熊本地震など過去の大地震による全壊率は鉄骨造やRC造と比較して決して高くはありません。むしろ、地震から受けるエネルギーは建物の重量に比例して大きくなるので、鉄骨造やRC造とと比べると軽い木造は受けるエネルギーが小さくてすみます。
さらに、前述した「木を活かす建築推進協議会」による調査では、地震と同じ揺れを建物に与える実験の結果についても検証しており、建築基準法を満たしていれば大地震でも木造住宅が倒壊しないことが確認されています。
参考リンク:木を活かす建築推進協議会「木造建築の耐震性」
住む人にやさしい木造住宅
無垢材を使ったフローリングや家具は触り心地がやさしく、「ぬくもり」さえ感じます。これは単なるイメージや感触だけの話ではありません。木が人の心や体に健康的な影響を与えることは、科学的に証明されているのです。
木造住宅はインフルエンザを抑制する?!
林野庁や文部科学省が発表している資料「木材利用の意義と効果」によると、木造校舎でのインフルエンザによる学級閉鎖の割合は、コンクリート造の校舎に比べて1/3程度まで低下する傾向が見られるそうです。これは、木の抗菌性や調湿効果がインフルエンザ菌の繁殖を抑えるため。またこの資料ではほかにも、「足下が冷えない」「精神的なストレスが緩和して集中力が増した」といったさまざまな効果を挙げています。木のぬくもりが、体にも心にも良い影響を与えているということですね。
参考リンク:「木材利用の意義と効果」
木の香りにはリラックス効果がある
「森林浴」という言葉からも分かるように、木々が生い茂る森林の中にいると、人は心地よさを感じます。この理由の正体は、植物から放たれる「フィトンチッド」と呼ばれる香り成分。心身にリラックス効果を生むことが実験で明らかになっており、医療先進国であるドイツでは森林浴が医療行為として認められています。また、ダニが嫌がる成分を発散して行動や繁殖を抑えるという効果もあります。
「1/fゆらぎ」をもつ木目
不規則に流れる木目には「1/fゆらぎ」という、自然が生み出すリズムがあります。川のせせらぎを聴いてリラックスするのと同じように、木目も眺めるだけで心を落ち着かせる効果があります。
木材で家を建てることは、実はとてもエコロジー。住む人の健康だけでなく、地球の健康まで考えた家づくりができます。
森を元気にする
自然のままの森林こそが地球環境によさそうなイメージがありますが、実は人によって手入れされていない森林は荒れてしまい、土砂災害を引き起こす危険性が高まります。大切なのは、「植える、育てる、収穫する」というサイクルで森を循環させること。間伐して木材を活用することで木は再生され、森林が元気になります。
環境への負荷を抑える
木材は、鉄骨造やRC造と比較すると、製造する過程で排出される炭素の量が圧倒的に少ない省エネ素材。また、木材は住宅に使われている時も、森林と同じように二酸化炭素を吸収して炭素を貯蔵する効果があります。つまり、木材を使った住まいは地球温暖化防止に貢献する家なのですね。
参考リンク:林野庁HP
木造建築は地球環境にもやさしい
木材で家を建てることは、実はとてもエコロジー。住む人の健康だけでなく、地球の健康まで考えた家づくりができます。
森を元気にする
自然のままの森林こそが地球環境によさそうなイメージがありますが、実は人によって手入れされていない森林は荒れてしまい、土砂災害を引き起こす危険性が高まります。大切なのは、「植える、育てる、収穫する」というサイクルで森を循環させること。間伐して木材を活用することで木は再生され、森林が元気になります。
環境への負荷を抑える
木材は、鉄骨造やRC造と比較すると、製造する過程で排出される炭素の量が圧倒的に少ない省エネ素材。また、木材は住宅に使われている時も、森林と同じように二酸化炭素を吸収して炭素を貯蔵する効果があります。つまり、木材を使った住まいは地球温暖化防止に貢献する家なのですね。
参考URL:林野庁HP
木造住宅を長持ちさせるには
住宅の基礎や骨組みに使われる木材自体の耐久年数は、約80年とされています。しかし、腐食を抑えることができればそれ以上長持ちさせることも可能。水回り設備や外壁、屋根などの点検やメンテナンス・リフォームを定期的に行い、木部の腐食や劣化を防ぎましょう。
また、ライフスタイルの変化に応じて柔軟に間取りを変えられるように設計することで、いつまでも住みやすく、建て替えのいらない家になります。家づくりの際は設計士と相談して、将来を見据えた計画を立ててくださいね。
家族みんなで住まいに愛情をかけて大切に育てれば、木はそれに応えるように元気で長生きし、家族を守ってくれます。魅力いっぱいの木造住宅と、長いお付き合いを楽しみましょう。