株式会社フィックスホーム

いい家づくりコラム

収納イメージ

「広いだけ」の収納は、失敗する。

2022.11.15

家をつくるとき「広い収納がほしい!」と考えたことはありませんか?家の収納力が高ければ、余分な収納家具を買う必要はなく、整理整頓もしやすいため、家づくりにおいて「収納」は重要事項でしょう。
しかし「ただ広いだけの収納は失敗しやすい」という事実はご存じですか?例えば、そのウォークインクローゼット、本当に必要でしょうか。

収納を考えるうえで重要なのは、「広さ」ではなく○○○です。広さだけを意識した収納は、使い勝手が悪いうえに、部屋の広さにまで影響を及ぼしてしまいます。
いま家づくり中の方もこれから計画をたてる方も、ぜひこのコラムをご一読いただき、使い勝手がよくムダのない収納づくりにお役立てください。


収納の適正な広さって?床面積の12~15%が目安

家に必要な収納の広さとはどのくらいでしょう。目安としては「床面積の12~15%」と言われています。35坪(約115㎡)の家の場合、8~10帖(約14~17㎡)の収納があればよいということです。


【参考】
・1坪:3.3㎡(たたみ約2枚分)
・1帖(畳):1.62㎡

例えば、こどもが2人いる35坪の家の場合、家の収納は以下のような構成になるでしょう。
ウォークインクローゼット(2階):3帖
・子ども部屋クローゼット:1帖×2
・玄関収納:1~2帖
・パントリー:0.5帖
・洗面所:0.5~1帖
・デイリークローゼット(1階):1帖

この構成で、合計8~10帖の収納になります。ただし、これは床面積という「広さ」だけに着目した目安です。収納を考えるうえで「広さ」は確かに大切ですが、広さよりも重要視すべきことがあります。
それは「奥行き」です。奥行きについて熟考された収納は、合理的ですっきりとした、使い勝手のよいものとなります。
 


合理的で使い勝手のよい収納を作る2つのポイント

ここからは、合理的で使い勝手のよい収納を作るポイントについてお伝えします。
「収納は広さよりも奥行きが重要」とは具体的にどういうことなのか、ここを読めば納得していただけると思います。

①収納は「奥行き」を適正化せよ!

1つ目のポイントは「奥行きの適正化」です。クローゼットとパントリーを例に解説します。

【クローゼット】
一般的なクローゼットのサイズは幅180cm・奥行き90cmですが、「奥行き90cm」というのは、実はかなり余裕のある作りとなっています。
ハンガーパイプに服をかけたとき、どれくらいの奥行きが必要なのか、ぜひ実際にご自身で計測してみてください。大人の男性であっても60~70cmの奥行きがあれば十分かと思います。
また、ハンガーパイプを2本つけて収納量を増やそうとする方法がありますが、想像以上に使い勝手が悪いためおすすめしません。

一般的な寸法のクローゼット
クローゼットのNG
最適なクローゼット

収納を広くとるということは、部屋が狭くなるということでもあります。奥行きを適正化することで、その分部屋を広くとることができるうえ、収納の奥まで目が届きやすく、ものの管理もしやすくなります。

ウォークインクローゼットについても同様です。図にある3帖のウォークインクローゼットを通常のクローゼットにすると、面積は3分の2程度に小さくなったのに収納量は同じです。省スペースの分、部屋のスペースを広くしたり収納を増やしたりできます。
「ウォークイン」にした場合、必ずデッドスペースが生まれることを念頭においておきましょう。

3帖のウォークインクローゼット

【パントリー】
パントリーこそ、奥行きを適正化するべき収納です。パントリーの奥行きは一般的に60cm前後のものが多いのですが、奥にしまい込んだ食品の賞味期限が何ヵ月も過ぎていた経験は、誰しもあるのではないでしょうか。パントリーの奥行きは30~45mもあれば十分。必要以上の奥行きは、在庫管理を困難にして食品ロスの原因となってしまいます。奥行きを適正化し、ひと目で全体に目が届く状態であれば、食品が迷子になることもないでしょう。

パントリー収納

②収納は平面図より「立面図」で考えよ!

奥行きを適正化したら、もう安心!ではありません。次に「立面図」で確認することが大切です。間取りの平面図をながめていて、イメージがわきにくいことはよくありますよね。平面図と合わせて、立面図も確認すること実際の使い勝手をでグッと想像しやすくなります。

例えば、パントリーの場合。平面図(上から見た図)から読み取れることは、幅と奥行きのみですが、実際には稼働棚を設置するはず。これを立面図にすると、収納の高さや稼働棚の様子がしっかりとわかります。

パントリーのサイズ

クローゼットの場合は、ハンガーパイプを取り付ける位置や上部の棚の位置を、立面図から具体的に読み取ることができます。
家が完成してみると、「(悪い意味で)イメージと違った」という状況にならないよう、立面図での確認は必ずおこなってください。
 


「奥行きの適正化」と「立面図」で、失敗のない収納づくりを

広い収納は、たくさんのものを収納できて、一見使い勝手がよさそうに思われるでしょう。しかし、収納を広くとった分部屋は狭くなり、そのうえ奥行きが深いとものを管理しづらく、かえって片付きにくいというデメリットがあるのです。
収納は、広さにこだわるのではなく「用途に応じた奥行き」にすることで、省スペースかつ使い勝手がよいものになります。
そして、平面図と合わせて立面図を確認することもお忘れなく。立面で配置を確認してくれるプロのアドバイスもしっかり参考にして、ぜひイメージ通りの収納を作りあげてください。