いい家づくりコラム

キッチン天板イメージ

キッチン天板とレンジフードの賢い選び方

2023.4.20

キッチン天板の選び方というと、人工大理石やステンレスなど、まずは「素材」から選ぶことが主流ですが、より優先していただきたい選択事項があります。とくに「キッチンを清潔に保ちたい!」という方には大変重要なことです。
また、レンジフードの使用が光熱費のロスにつながる事実はご存じでしょうか。寒い時期では数千円も余分にかかっているという試算もあるほどです。光熱費の値上げがとまらないいま、ロスは避けたいですよね。

今回は知っておいて損はない、キッチン天板とレンジフードの賢い選び方をお伝えします。ベストな選択ができるよう、ぜひ家づくりの参考にしてくださいね。


1.キッチン天板の選び方

キッチン天板を選ぶとき、素材よりも先に決めていただきたいのは「形」です。どの形を選択するかでお掃除のしやすさがガラッと変わります。詳しく見てみましょう。


(1)キッチン天板はまず「形」を選ぶ

キッチン天板には一体型と分離型があります。

一般的によく目にするのは分離型で、天板に穴が開いていてシンクをはめ込んだタイプです。天板とシンクの継ぎ目に汚れや水気がたまりやすいのが難点で、汚れやすい上に陰になる部分があるため掃除がやりづらく、ついつい放置しがちに。長く住んでいると継ぎ目がカビてしまったという方も少なくないと思います。

シンク分離型のキッチン天板

一方、シンク一体型は天板とシンクの継ぎ目がないため水気がたまりにくく、汚れを見落とすことなく掃除も簡単。いつも清潔に使えて安心です。
一体型というとステンレス製のイメージが強いと思いますが、最近では人工大理石製のものもあります。キッチンは一日のうちに使う時間が長いですし、一度取り付けるとリフォームも大変です。少しでも使い勝手がよくお手入れが簡単なものを選ぶことをおすすめします。

シンク一体型のキッチン天板


(2)素材を選ぶ

形が決まれば、いよいよ素材選びです。
キッチン天板の2大素材である人工大理石とステンレスの特徴をおさらいしましょう。


【人工大理石】
人工大理石を選ぶメリットはデザイン性の高さです。樹脂が原料のため加工がしやすく、曲線的な形にも対応可能です。カラーも豊富で、白い壁紙からダークな壁紙まで合わせることができ、キッチンを思いどおりの印象に仕上げることができます。

主なデメリットとしてはコストの高さと、ステンレスと比べて耐久性や耐熱性が低いことがあげられます。人工大理石は樹脂からできているため油汚れが付着しやすいのですが、強い薬品やたわしなどでガンガンお手入れすることはNG。基本的には中性洗剤を使い、どうしても汚れがとれないときはメラミンスポンジやクリームクレンザーで優しく落とします。耐熱温度は200℃前後で、変色の原因となるので熱々のお鍋を天板に直接置くことは避けましょう。


【ステンレス】
ステンレスのメリットは、なんといっても耐久性と耐熱性の高さ。耐熱温度は500℃以上で、飲食店などプロのキッチンにステンレスが使われているように、熱々の鍋を直接置いてOK。汚れが染みこむこともなく、ニオイもつきにくいですし、凹みにも強いです。また、数ある素材のなかでもステンレスは比較的お手頃な価格です。

主なデメリットは、デザインが単一なこととサビに注意が必要なことです。キッチンを明るく華やかな印象にしたい方にはステンレス天板は不向きかもしれません。缶詰や鉄鍋を置いたままにするとサビが移ったり、塩素系洗剤がサビの原因になることも。丈夫さが売りのステンレスですが、取扱説明書にはしっかりと目を通しましょう。

(3)いつでもきれいをキープするならシンク一体型が◎

キッチン天板選びの最大のポイントは「一体型か分離型か」です。とくに、キッチンをいつでも清潔に保ちたい方や見えない部分の汚れが気になる方には、掃除が簡単な一体型がおすすめです。天板の素材は、思い通りの印象に仕上げられる人工大理石か、使い勝手のよい機能的なステンレスか、ご自身の好みに合うものを選ぶとよいでしょう。


2.レンジフードの選び方

高性能住宅を建てるなら、レンジフードはぜひともこだわっていただきたいポイントです。というのも、レンジフードの排気する力は私たちが想像するよりはるかに強く、光熱費のロスにつながっているからです。


(1)レンジフードを使うと光熱費を千円以上ロスする!?

レンジフードの排気量は1時間あたり弱運転で200m³前後、強運転で500m³前後あります。住宅の平面的な広さは大体124m²(2021年度フラット35利用者調査結果より)、天井高を2.4mとした場合、体積はおよそ300m³ですから、レンジフードを強運転させておくと1時間もせずに家の空気が入れ替わるほどのパワーなのです。
「圧倒的なパワーで換気もラクラク~!」と頼りになるレンジフードですが、それはつまり冷房や暖房で温度調節した空気もどんどん排出してしまうということ。結果的に光熱費のロスにつながってしまうのです。家の広さやレンジフードの運転時間など条件によりますが、1ヵ月に余分にかかる光熱費は夏場で千円~、冬場で数千円にのぼるという試算も。

せっかく断熱性や気密性を高めて省エネの家を建てたのに、レンジフードを使うとエネルギーのロスにつながるなんてショックですよね。
でもご安心を。レンジフード周辺だけを排気できる「同時給排気型レンジフード」というものがあります。


(2)同時給排気型レンジフードとは?

一般的なレンジフードは排気ダクトしかありませんが、同時給排気型はダクトが2本あり、排気と給気を同時におこなうことでレンジフード周辺の空気だけを排出できます。室内の空気を引き寄せることがないので光熱費のロスになりませんし「台所にいると冬場は足元がひんやりする」なんてことも緩和されます。

また、気密性の高い住宅は排気に給気が追いつかず、屋外よりも屋内の気圧が低くなる負圧状態になりやすい。結果、均衡を保とうと外気をとりこもうとする力が働くため「窓からヒューヒューと音がする」「玄関ドアを開けるのに力がいる」「排水溝からニオイがあがってくる」などの現象が起こることがあります。同時給排気型レンジフードであれば、そういったことが緩和できるのです。
一般的なレンジフード
同時給排気型レンジフード


(3)高性能住宅には同時給排気型が◎

レンジフードが光熱費に大きな影響を与えることは知らない方も多いと思います。いま光熱費の値上がりが続いていますが、再生可能エネルギーの普及により将来的に電気代は2倍(2020年比)になるともいわれています。同時給排気型レンジフードは光熱費のロスを防ぎ、負圧により起こる現象も緩和してくれるため、高性能住宅を建てる方はぜひ同時給排気型レンジフードを検討してみてくださいね。