いい家づくりコラム

暮らしを考えた玄関イメージ

暮らしを考えた玄関の作り方

2023.5.20

マイホームの玄関づくりを考えるとき、どれくらいの広さにするかを主に考えていませんか?それにばかり着目してしまうと、後々「もっと○○すればよかった」と後悔してしますかもしれません。
しかし、ほんの少し視点を変えるだけで、玄関をとても機能的な空間にすることができます。

今回は「玄関とは何をする場所なのか」という原点に立ち返り、玄関づくりの正解を探してみましょう。


玄関の役割って?

そもそも玄関とは何をする場所でしょうか。もちろん「家への出入り」なのですが、それを除くと主に以下の4つがあげられます。

①接客

玄関は住人だけではなくお客様も出入りする場所です。訪問客が多い方やご近所さんと玄関先でおしゃべりする機会が多い方は、家の顔ともいえる玄関を南向きの明るく広いものにしたいと思われるかもしれませんね。また、風水では南向きの玄関はよい運気が入るともいわれています。裏を返せば、家に人を招く機会がない方や風水に興味がない方は広さや方角にこだわる必要はないともいえます。

②宅配物の受け取り

日常的にインターネットショッピングをしていれば荷物の受け取りも頻繁にあります。飲み物や日用品をケース買いするなどして、大きな荷物を一時的に玄関に置きっぱなしにしている方も少なくないのではないでしょうか。

③コートなどアウターの脱ぎ着

防寒着やレインコートなどは玄関で脱ぎ着することが多いもの。花粉症などの症状がある方や幼いこどもは、アウターを部屋の中まで持ち込まずに玄関の壁にかけておく場合もあるでしょう。

④ベビーカーなど外で使うものを置く

ベビーカーやこどものキックボード、ボールなどを玄関に置いてある家庭は多いでしょう。大きな玄関収納がある家であればゴルフバックやスノーボードなどの外で使うレジャー用品を保管している方もいます。

このように人が出入りするためにある玄関は、実際には多様な役割があります。


玄関はただの出入口ではなく「港」である

「海の玄関口」と呼ばれる港にはたくさんの倉庫があり、倉庫に搬入されたあとは一時的に保管され、時期をみて各地へ配られます。それは家の玄関も同様で、玄関には出入り口という機能のほかに搬入、保管できるスペースが必要なのです。玄関にそういったスペースがあれば、ものの置きっぱなしを防げますし、家事が効率的に進みやすく家の中もスッキリ片付きます。

玄関は何をする場所?


玄関にあると便利なもの9選

続いては、玄関にあると便利なものをご紹介します。玄関収納をどれくらいの広さとるのかの参考にしてくださいね。

玄関にあると便利なもの

①小さなイス

脚が不自由な方が靴を履くときはもちろん、履くのに手間がかかる靴を履くときや幼いこどもに靴を履かせるときなどにイスが大変重宝します。壁に折り畳みイスを造作することも可能ですが、片手で扱えるような小型のイスで十分。玄関先でおしゃべりが始まったときに腰かけてもらうこともできます。

②手洗い場

コロナ禍で注目が集まった玄関の手洗い場は、家の中に汚れやバイキンを極力持ち込みたくないという方にぴったりです。外で遊んできたこどもにも手を洗ってもらいやすくなります。注意点としては、小さな電気温水器で構わないので、ぜひお湯が出る手洗い場にしてください。寒い時期、冷水で手を洗うのがストレスで手洗い場を使わなくなるという状況になりかねません。
また、玄関の手洗い場の設置には「掃除場所が増える」「洗面ボウルが小さいと水がはねる」というデメリットも。玄関に手洗い場をつくるのではなく、洗面所(脱衣所)を玄関に近い場所に設けるという手もあります◎

③資源ゴミ収納スペース

いまは何でもインターネットで注文できるため、段ボールが溜まりやすく保管場所に困っている方も多いのではないでしょうか。段ボールに限らず資源ゴミはかさばりやすいため、玄関に収納できれば部屋がスッキリしますし、ゴミ出しもラクチンです。段ボールの開封に使うハサミや段ボールをまとめるヒモなどの小物も一緒に収納しておくと、玄関で作業が完結できて効率的です。

④傘かけ・たて

玄関づくりを考えたときに意外と見落としてしまうのが傘の置き場です。傘たてを置く、もしくは傘をかけられるフックを取り付けるなど方法はお好みで問題ないので、忘れずに準備しておきましょう。

⑤ペットグッズ収納スペース

ペットのキャリーバッグや服、散歩グッズなどを玄関に収納しておけば、ペットとの外出準備もさくさく進みます。

⑥ハンカチ、ティッシュ収納スペース

家を出ようとしたときにハンカチとティッシュを持ってないことに気づいて「部屋まで取りにいくのが面倒くさい…」そんな状況、あるあるですよね。他にもマスクやリップクリーム、エコバッグなど外出時に持ち歩く小物を玄関に収納しておくと、外出前に何度も靴を脱ぎ履きして部屋と玄関を往復するという事態も防げます◎

⑦季節もの収納スペース

冬に使うマフラーや手袋、耳あて、ホッカイロ、夏に使う虫よけスプレーや帽子、サングラスなどを玄関に収納しておくと外出がスムーズに。「持ってくればよかった~」という状況も減るかもしれませんね。

⑧防災グッズ収納スペース

防災グッズをリュックサックにまとめて玄関に保管しておけば、いざというとき速やかに避難を開始できます。また、消火器を火の気がある台所に保管している方もいると思いますが、玄関に置くのもおすすめです。台所で火災が発生した場合、火の広がり方によっては消火器を取り出せない状況も起こり得るため、玄関など火の気がなく確実に取り出せる場所に保管する方法もあります。

⑨コンセント

玄関にコンセントがあると、玄関まわりの掃除に掃除機を使いたいときや靴用の乾燥機を使いたいとき、電飾がついたクリスマスツリーなどを飾りたいときに便利です。玄関で電気蚊取りを使いたいときにも◎


玄関づくりは用途を整理すると失敗しない

玄関の使い方は人それぞれです。本コラムの前半で述べたとおり、訪問客が多いのかそうでないのかという点ひとつでも、玄関づくりにおける優先順位が変わります。実際にいまお住いの家の玄関をご自身や家族がどのように使っているのか、ぜひ観察してみてください。そうすれば理想の玄関に必要な機能がはっきりと見えてくるでしょう。