
30年間で1,200万円!? 将来の維持費を抑える家づくりとは
2025.11.20
家は建てるのにお金がかかるだけでなく、維持するためにもお金がかかります。その額、なんと30年間で約1,200万円。物価がどんどん上昇している昨今、1,200万円では済まないかもしれません。
今回は、家を建てた後の50年間にどのような維持費がかかるのか、維持費を抑えるために家づくりでできることは何か、その具対策をお伝えします。
30年間の維持費は1,200万円以上。その中身は?
地域や業者によって差はありますが、新築から30年間で1,200万円前後の維持費がかかります。かなり大きな金額ですが、具体的にどのようなメンテナンスが必要なのかというと、一般的な木造2階建て(約30坪/サイディング外壁/コロニアル屋根)では、主に以下のようなメンテナンスが必要です。
□防蟻工事:5年ごと
□外壁の塗り替え:15年ごと
□屋根やベランダの防水:15~30年ごと
□設備(給湯器やエアコンなど)交換:10~15年ごと
30年を超えると、上記以外に内装工事も必要になるかもしれません。たとえば、カラーフロアのようなウレタン塗装の床材は、劣化によって表面の塗装がボロボロとはがれてくるため、上から何かを張るか張り替えを検討することになります。また、30年も経てばキッチンやユニットバス、洗面、トイレなども、使うことはできても古びてきます。
30年間で約1,200万円ということは、1カ月にすると、毎月33,000円以上を積み立てておかないと、将来のメンテナンスに対応できない恐れがあるのです。

維持費を抑える家づくり。その具体策は
維持費を抑えるためには、初期費用だけでなく、耐用年数やメンテナンスのしやすさに注目して選択することが大切です。
防蟻工事は無機系(ホウ酸系)を選ぶ
ベタ基礎にすることでシロアリなどの虫の侵入はある程度防げますが、木造住宅に防蟻工事は欠かせません。防蟻工事には主に、溶剤系と無機系(ホウ酸系)があります。溶剤系は徐々に効果が薄れていくため5年ごとの施工が必要ですが、無機系(ホウ酸系)は浸水して流れることがない限り、半永久的に効果が続くといわれています。無機系(ホウ酸系)の初期費用は高いですが、長期的にみるとコストカットになります。
外壁・屋根は長寿命な素材を選ぶ
外壁に使用される板状の仕上げ材であるサイディングは、施工の速さやデザインの多様さから多くの家で使用されています。その寿命は15~30年と種類によってさまざま。10~15年ごとにメンテナンスとして塗り替えが必要なため、多額のコストがかかります。
そこで、サイディングよりも長持ちするガルバリウム鋼板や塗り壁、木張りを検討してみましょう。耐久性が高くメンテナンス頻度を大幅に減らせるため、コストカットできます。「木張りは腐りやすそう」という印象があるかもしれませんが、お寺では何十年も前の板がそのまま使われていますよね。木の種類や使用環境、メンテナンスによっては50年以上持ちます。
屋根も同様で、薄くて軽量なコロニアルは耐震性が高い一方で、防水性は表面塗装に頼るため定期的な塗り替えが欠かせません。しかし、ガルバリウム鋼板や瓦は長寿命で、とくに瓦は塗装不要なうえ、場合によっては50年以上持ちます。また、両者とも太陽光パネルを設置しやすいというメリットも。近年、電気代の高騰が続いているため、自家発電は光熱費削減に有効です。
ベランダ防水はFRPより金属防水を選ぶ
ベランダ防水によく使用されるFRP(繊維強化プラスチック)防水は、耐水性や耐久性に優れ、工期が短く済むという特長がありますが、15年ごとに再施工が必要です。
一方、ステンレスや鉄板などの金属パネルを固定する金属防水は、高い防水性はもちろん地震や火事にも強く、30年以上はメンテナンスの必要がありません。
ベランダそのものを作らないという選択も、維持費削減には有効です。
内装材は新建材より無垢材を選ぶ
新建材とは、合板などの人工建材のこと。新建材フロアは経年劣化すると重ね張りや張り替えが必要ですが、無垢フローリングは手入れをすれば何十年と使用可能で、時間とともに味わいが増します。時間とともに劣化する素材ではなく、味わい深くなる素材を選ぶことで、維持費は抑えつつ愛着を深められます。
設備機器はシンプル・省エネのものを選ぶ
トイレ自体は余程のことがない限り壊れませんが、ウォシュレットは壊れやすいので、なくてもよいという人はウォシュレットをつけないのも手です。
洗面ユニットも、故障ではなく古びて見えるから交換することが大半です。床材と同様に、時間経過とともに味わい深くなるような素材を選んでおくと、丸ごと交換する必要はなくなり、水栓など部分的な交換で済みます。
給湯器選びは、ランニングコスト、つまり光熱費を考慮しなければなりません。たとえば、ガス給湯器とエコキュートでは、後者のほうが初期費用は高いですが光熱費は安くなります。
同じく光熱費がかかるエアコンは、その台数がコストカットに直結します。一戸建ての場合、5台ほどのエアコンを設置しますが、光熱費だけでなくエアコンクリーニングにも買い替えにも台数分のコストがかかります。つまり、保有すればするほどコストがかかるのです。これを、床下エアコンや小屋裏エアコンなど、1~2台で家全体をまかなえるよう設計すれば、光熱費だけでなくその他のコストも大きく削減できます。
家づくりは長期的な視点が鍵
マイホームのお金について考えるときは、住宅ローンの返済だけでなく、多額の維持費にも目を向けなくてはなりません。
□維持費のかかるものを少なくする。または、なくす。
□メンテナンスの間隔を長くする。
これらのポイントをおさえれば、維持費を削減できます。耐久性の高い素材を選ぶなど、今回ご紹介した対策をぜひ家づくりに取り入れてください。ただし、くれぐれも必要なメンテナンスを省くことはしないでください。家の寿命を縮めることにつながります。
加えて重要なポイントが、光熱費です。家の断熱性能、給湯・空調設備、太陽光発電などを長期的な視点で選択すれば、光熱費は抑えられます。浮いた光熱費は、将来の維持費に充てることもできます。
当たり前のことかもしれませんが、「短期的には高額にみえても、30年50年という長期的には得をする」ということを覚えておいてください。










